この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約7000人の受講生のデータと学習工学(Instructional Design)に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。

 コメント欄でビジネス英語や学習法について何でもご質問ください。また、アンケートフォームでも質問を受け付けています(こちら→日経ビジネス「その英語学習法、間違ってます!」質問受付)。

それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

今回の質問

IT・情報通信関連企業勤務 CFさん(51歳)
 海外で仕事をしていますが、ディスカッションができません。用意して話す、ちょっと聞いて質問するということは可能ですが、インタラクティブ(双方向)に会話ができません。現在TOEIC リスニング&リーディング(L&R)テストのスコアは705点です。詳細まで聞き取り、持ち帰らずその場で質問できるようにするにはどうしたらいいでしょうか?

[回答]
 CFさん、海外からご質問をいただきありがとうございます。

 実は、海外在住で英語力が伸び悩んでいる方はかなりいらっしゃる印象です。実際、アジア圏で英語を使う機会がそれほどないという方だけでなく、英語圏でもあるレベルから上達しないという悩みを持つ方がオンラインでTORAIZを受講されています。環境さえあれば自然と英語が話せるようになるわけではないという証左だと思います。

 さて、CFさんの場合、TOEIC L&Rテストで705点を取得できているということですので、英語を話すための文法や単語の基礎力は既にあると言ってよいと思います。次のチャートをご覧ください。

VERSANTとTOEICスコアの相関関係(トライオン作成)
VERSANTとTOEICスコアの相関関係(トライオン作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 このチャートは、TORAIZ受講生の英語のスピーキングテスト「VERSANT(ヴァーサント)」スコアとTOEIC L&Rスコアの関係を示しています。縦軸がVERSANTスコア、横軸がTOEIC L&Rスコアです。

 本チャートからは、TOEIC 700点が取得できていれば、VERSANT 47点以上のスコアを取れる方もそれなりにいることが分かります。参考までに申し上げると、VERSANT 47点は、プレゼンテーションを行い、質疑応答を1人でなんとかこなせるレベルです。

 また、TOEIC 700点で最も多いのはVERSANT 30点台後半の方々です。TORAIZを受講開始される方のスタートラインにおいても、最も多いスコア層です。TORAIZではこのスコア層の方に対して、文法や語彙についての学習を学習プログラムの中に組み込むことはほとんどありません。それでも、1年後のTORAIZ修了時のVERSANTスコアの受講生平均は47点を超えています。

 これらのことから、TOEIC L&Rで700点が取れていれば、文法と語彙についてCFさんがさらに学習する必要は基本的にないと言えると思います。

 では、CFさんの英語力を飛躍的に伸ばす鍵は何でしょうか? 順を追って見ていきましょう。

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