英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」を運営しているトライオン代表の三木雄信です。この連載では、TORAIZの5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

国内大手メーカー 人事研修部勤務 Tさん(36歳)

私は海外での販売比率が50%を超える部品メーカーの人事部で英語の研修を担当しています。現在悩んでいるのが、「英語研修は自己研鑽(さん)であるべきか、社費育成であるべきか」ということです。この点についてお考えを聞かせてください。

[回答]
 この質問はグローバル化を進める日本企業で英語研修を担当している方からよく聞かれます。また、受講前のカウンセリングに来られる方が「勤務している会社が受講料を負担できるか、会社と相談します」とおっしゃるのもよく耳にします。

 会社としても働く社員としても、英語学習への投資がどうあるべきなのかを以前より考えるようになったのだと思います。背景として、日本の大手製造業で、生産と販売の両面において海外比率が50%を超えるようなグローバル化が急速に進んでいることがあるようです。

 いただいた質問に端的に回答すると以下のようになります。「グローバル化を進める日本企業における英語研修は、社員のキャリアパスが不確定な間は自己研鑽とし、その社員が業務上英語を必要とするキャリアパスに乗る入り口の段階で必要ならば社費育成すべきである」

 実際、TORAIZのクライアント各社のほとんどが上記の回答のような形で研修を実施しています。なぜ多くの企業が「キャリアパスが不確定な間は自己研鑽、英語が必要なキャリアパスに入る段階で社費育成」という形を取っているのでしょうか。

 理由の1つ目が、業務上英語を必要とするキャリアパスに乗るかどうか分からない全社員に対して社費で英語研修を行うのは合理的でないこと。研修にかかる費用を投資として考えると極めて当然のことです。

 また理由の2つ目として、社員のキャリアパスが不確かな若年層においては、TOEIC L&Rで800点以上のスコアを持って入社している場合も多く、それ以下の点数の人でもスマートフォンで安価に利用できるアプリや書籍による独学でスコア上昇を図ることが可能なことが挙げられます。一方で、海外企業の買収に伴うマネジャーとしての赴任や、英語を共通言語として使うグローバルなITプロジェクトでのプロジェクトマネジャーへの選任など、キャリアパスが決まる中堅・幹部候補の英語力が不足していることが多いのも事実です。

 3つ目が、英語を使う業務のために外部から人材を採用するより、英語研修への投資のほうがコストが低いことです。例えば、英語が使えるITのプロジェクトマネジャーとなれば年収も高く、中途採用のコストも1人当たり数百万円ほどかかる可能性もあります。その人材が実際に活躍してくれるかどうかも分かりません。それよりも社内で業務に精通している人材に英語研修を施したほうがよほど安上がりなのです。

 では、このような英語研修を行っていくための前提について考えてみましょう。TORAIZのクライアントの成功事例からは次のようなことが分かります。

 まず、社員のキャリアパスについて長期的なプランがあり、社員と合意できている必要があります。例えば、あるグローバル企業では、そもそも英語で行われる全世界を対象にした幹部育成プログラムに参加することが将来の幹部になるための前提となっています。そのプログラムに参加できるのは当然ながら業務で優秀な実績を残してきた社員ですが、このような優秀な社員がキャリアを広げられるように、数年にわたって英語研修を実施しています。

 また、別の企業では、海外赴任者の選定を1年前から行います。逆に、会社が選別するのではなく、グローバル人材として海外赴任を希望する社員をチャンレジ制度で募集して選考し、1年半にわたる英語研修をはじめ様々なグローバル人材研修を行う会社もあります。

続きを読む 2/2 社費での英語研修がない場合はまずTOEIC700点を目標に

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