この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約7000人の受講生のデータと教育設計学(Instructional Design)に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。
それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。
外資系医療機器メーカー勤務 Aさん(32歳)
最近、上司が日本人からインド人になりました。私はその上司と1対1での面談で目標を設定し、その達成度合いで評価が決まります。昇給や昇進などにも当然影響があるので大変プレッシャーになっています。しかし、インド英語がどうしても聞き取れず、何度も聞き返すのも上司に対して失礼な気がして本当に困っています。インド英語に素早く慣れる方法を教えてください。
[回答]
Aさん、なかなか難しい立場ですね。しかし、この数年Aさんと同じ悩みでTORAIZを受講する人がだんだん増えているのは事実です。日本のビジネスパーソンが置かれている環境のボーダーレス化がより進んできているのだと思います。
さて、実はTORAIZでは従来はこのような悩みで来られる人にも、基本的にはアメリカやイギリスなどの英語を第一言語とする英語話者の発音をリスニングできることをまず目指すように推奨しています。そして、インド英語が聞き取れない場合に「聞き返す」「確認する」といったコミュニケーション・ストラテジーで対応することを推奨してきました(※)。
加えてリスニング向上のためにインド英語を含む教材を使ってシャドーイングをするという対応をしてきました。
最近は受講生の方々の受講開始時の英語レベルが比較的高くなってきていることと、インドやそれ以外のアジア諸国の英語についての教材が増えてきていることから、インド英語を学習するプログラムを設計することも増えてきています。
例えば、2021年に発刊された『日本人のためのインド英語入門 ことば・文化・慣習を知る』(以下、日本人のためのインド英語入門、本名信行/シャルマ アナミカ著:三修社)や『新アジア英語辞典』(本名信行/竹下裕子/シャルマ アナミカ/田嶋 ティナ 宏子/小張 順弘著:三修社)などは、インド英語やインド人とのコミュニケーションを学ぶための非常に良い教材だと思います。
教材を使ったインド英語学習
こうした教材を活用したプログラム・デザインの考え方の一部をご紹介したいと思います。
まず、日本人がインド英語を学ぶ際に前提とすべきことが1つあります。それは、インド人はそもそも、英語を第一言語とするアメリカ人やイギリス人の発音やアクセント、イントネーションを「正」としてそれらに合わせて矯正しようとは思っていないということです。
日本人に置き換えて言えば、日本語の影響を受けたカタカナ英語で良いという姿勢ということです。
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