(2)シャドーイング

 2つ目は、シャドーイングです。シャドーイングの教材として、前述の『プレゼンを100%成功させる!! ITエンジニアの英語』を使うこともできます。この本には、英語のネイティブ話者による音声データをダウンロードできるようになっています。これをシャドーイング教材として使うのも悪くはないのですが、残念なことに単語一つずつが明確に発音されており、教材としての英語になってしまっています。

 日本人にとって、英語のネイティブ話者の英語が聞き取れないのは、単語が結びつくことで起きる音の変化と(受験英語として学んだ文字ベースの)テキストが結びつかないことが一番の原因であるとTORAIZでは考えます。ですから、やはり自然な英語を学ぶことが大事です。

 結果、シャドーイングについては、ITに特化する必要もないと考えます。せいぜいビジネスや法律分野などぐらいで絞り込みはよいのではないでしょうか?

 実際、いわゆるGAFAの中の1社で日本法人から米国本社に転籍されたTORAIZの受講生で、映画『プラダを着た悪魔』のシャドーイングを行った方がいます。1本まるまる暗記され、VERSANTスピーキングテストのスコアも飛躍的に伸びて、転籍されました。

 これを考えると、自分が興味を持てる内容でまるまる1本覚えることが楽しみと言えるぐらいの映画を教材とするのがよいのではないかと思います。

(3)レッスン

 3つ目は、レッスンです。レッスンについても教材・テーマ選びが重要です。Iさんのような場合には、一般的な教材を使うよりも可能であれば、実際に行うプロジェクトマネジメントの内容そのものに近いほうが望ましいことは言うまでもありません。

 実際に、プロジェクトについて議論するならばTEDトークで何らかのプロジェクトについて取り上げたものを使うのもよい方法でしょう。宇宙開発やプランクトンについてのプロジェクトなどがTEDトークでもテーマになっています。これらについて、レッスンの中で課題や解決策について英語のネイティブ話者の講師と議論するのです。ただ、重要なことは教材やレッスンについて融通が利くスクールや講師を探すことができるかどうかがポイントになってきます。

 もちろんTORAIZではこのような柔軟性を実現しているのですが、その代わり担任制となり決まった曜日の決まった時間でのレッスンをすることになっています。TORAIZに限らず個別に最適化したレッスンをするスクールはこのような担任制になっていることがほとんどなので、この点はIさんのスケジュールと調整が必要になってくるかもしれません。

 また、状況が許せばですが理想的には実際に自分が行っているプロジェクト自体について議論することもあり得るでしょう。しかしこのような場合には、営業上の秘密や個人情報の漏洩に当たらないように自分自身で情報の取捨選択をある程度する必要があることに留意する必要があります。その代わり、パターンプラクティスで学んだフレーズを駆使してより実践的なレッスンをすることも可能になります。

 Iさん。このようにゴールから逆算し、個別最適化して教材とレッスンをきちんと行えばプロジェクトマネジャーとして活躍できる英語力を身に付けるのは、スタート時点の英語力によりますが、最短で3カ月、標準的で6カ月、長くても1年で可能だと思います。

 特にIさんは実際に英語でプロジェクトを行う現場にいるわけですから、アウトプットのチャンスには恵まれているほうだと思います。プロジェクトマネジメントというゴールははっきりしているのですから、悩むよりもまずは、パターンプラクティス、シャドーイング、レッスンについて、プロジェクトマネジメントに適した教材を選んで学習計画を立ててみるのはいかがでしょうか。

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