英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」を運営しているトライオン代表の三木雄信です。当初、4回の予定だったこの連載ですが、おかげさまで多くの反響をいただき、継続することになりました。読んでくださっている皆様に御礼申し上げます。誠にありがとうございます。

 連載継続にあたり、TORAIZの5000人を超える受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。今後、皆様からの質問も受け付けたいと考えています。ビジネス英語についてなんでもご質問ください。

 では、早速1問目の質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

大手IT企業勤務 Yさん(32歳)

 TOEIC L&Rで755点を取りました。私の会社の社内規定で求められるスコアが750点なのでクリアしているのですが、海外拠点との英語での定例会議(オンライン)で気後れして話せなくて困っています。今後さらにTOEIC L&Rのスコアアップを目指していくべきでしょうか。

[回答]
 結論から申し上げると、これ以上TOEIC L&Rのスコアアップを目指す必要はないと思います。なぜならば、TOEIC L&Rのスコアは、英語を使って口頭でビジネスコミュニケーションを取るための必要条件ではありますが、十分条件ではないからです。

 言い換えれば、TOEIC L&Rのスコアが800点や900点であっても、英語を使って口頭でビジネスコミュニケーションを取ることができない、自信を持てない人はたくさんいるということです。

 これは、私が運営する英語コーチングスクールTORAIZの受講生の中で、TOEIC L&Rのスコアを保有する方のスコアと、人工知能を使った英語のスピーキングテストVERSANTの受験1回目のスコアの相関関係を示すチャートです。

 VERSANTテストとは、世界トップクラスの教育企業である英国ピアソン社が行っている英語スピーキング力テストです。パソコンやスマートフォンのアプリを使い、英語で出される質問を聞いて、英語で回答します。ここが目で英文を読んだり、回答をマークシート式で行ったりするTOEIC L&Rとは異なる点です。よりダイレクトに英会話能力を測定するテストと言えるでしょう。海外だけでなく、日本でもそうそうたるグローバル企業でのVERSANT導入が進んでいます。

 このテストは80点満点で、日本人のビジネスパーソンの平均点は38点です(2018年、ピアソン調べ)。初めての受験から数回目まではテストに慣れることで5点ぐらいはすぐ上がるのですが、そこからスコアを上げていくのが難しいテストです。本当の英会話力が身に付かないとスコアが上がらず、テクニックはあまり通用しないと考えていいでしょう。

 TORAIZ受講生や法人クライアントの話を総合すると、英語環境で仕事をするためには47点以上、グローバル企業や外資系企業では58点程度が必要とされます。

 上記のチャートで分かることは、TOEIC L&RのスコアとVERSANTテストのスコアの相関が決定係数0.38ということです。この決定係数では、「相関はあるが強い相関ではない」とみなされます。

 特に注目してもらいたいのは、TOEIC L&Rのスコアが800点や900点であっても日本人の平均である38点以下の方がかなりいるということです。つまり、TOEIC L&Rのスコアを上げることを目的に学習をしても、口頭でビジネスコミュニケーションを行うことが可能になるかと言えば、必ずしもそうではないということになります。TOEICで高スコアを取るのは非常に時間がかかります。例えば、TOEIC L&Rで950点以上を獲得するためには、2000時間以上の英語学習が必要なことがTORAIZ語学研究所の調査で分かっています。

続きを読む 2/2 キャリアプランに沿った英語学習のゴールを

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