WHOが定義するグローバルコンピテンシー

 コンピテンシー(ハイパフォーマーの行動特性・能力)については、さまざまな定義があり、これという定説はありませんが、WHOでは、以下のように定義しています。

Competencies provide us with a common language to define the required behaviours in different jobs. The Enhanced WHO Global Competency Model is embedded in the HR Strategy and its main components. Each competency includes a set of behavioural indicators required of a staff member by the Organization in a particular job level and grade.

「コンピテンシーは、異なる職種で求められる行動を定義するための共通言語を提供する。強化版グローバルコンピテンシーモデルは、人事戦略とその主要な構成要素に組み込まれている。各コンピテンシーには、特定の職務レベルや等級において組織がスタッフに求める一連の行動指標が含まれている」

 具体的に、強化版グローバルコンピテンシーモデルを見てみましょう。組織の階層に応じて4つの分野に分かれています。そして、それぞれの分野で望まれる行動特性・態度がさらに複数のレベルで詳述されています。

【コンピテンシー】

1.必須となる分野
(1)技術的専門性
(2)仕事に対する姿勢
(3)チームワーク
(4)個人と文化の違いの尊重と促進
(5)コミュニケーション
(6)やる気を起こさせる環境づくり

2.中核となる分野
(1)自分を知る・管理する
(2)結果を出す
(3)変化する環境の中で前進する
(4)模範を示す

3.マネジメントレベル
(1)資源の有効活用の徹底
(2)組織内外のパートナーシップの構築と推進

4.リーダーシップ
(1)組織を成功の未来へ導く
(2)イノベーションと組織学習の推進
(3)ヘルス・リーダーシップにおける組織の地位の向上

 上記のコンピテンシーのうち、英語力に関係がありそうなものは「コミュニケーション」です。「コミュニケーション」のところは、詳しくは次のように定義されています。

【コミュニケーション】

(1)他者との会話や交流の中で、自分の意見を明確に表現することができる。
(2)積極的に人の話を聞くことができる。
(3)効果的な文章を書くことができる。
(4)情報の共有化を図ることができる。

 ご覧の通り、特に言語の指定はされておらず、コミュニケーションとして「できる」ことのリストとして並んでいるだけです。つまり、WHOの強化版グローバルコンピテンシーモデルにおいては、英語力というものが規定されているわけではありません。また、コミュニケーションがコンピテンシーに占める割合は一部にすぎません。

 このようにWHO強化版グローバルコンピテンシーモデルのほとんどはビジネス力に関するものなのです。

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