今回も、前回に引き続き「仕事で英語を使っている人たちが必ずやっている学習法」について考えていきたいと思います。前回は、英会話学校の選び方についてお話ししました。今回は、英語コーチング・プログラムTORAIZ(トライズ)語学研究所が実施した「外資系企業で働くビジネスパーソンを対象としたアンケート」(調査委託先:マクロミル)で英会話の次に行っている人が多かった自宅学習(映画やTEDといった動画・音楽などのシャドーイング)についてお話ししましょう。

シャドーイングに効果はあるのか

 映画を使った英語学習に興味のある人であれば、「シャドーイングっていいよ!」といった話を聞いたことがあるでしょう。もともとは通訳の育成のための方法として昔から実施されていたのですが、最近では一般的な英語学習者にも普及しています。

 具体的には、まず、ある英語の音声とそれが文字化されたテキストを準備します。次に、英語の文章を音声で聞いて、それをほぼ同時に口に出してまねをするというものです。まず音声を聞いてある程度、口でまねできるように練習します。その後、文字を見ます。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 決して、文字を見てから音声を聞くことはしないでください。まずはあるがままの音声を認識する必要があるからです。人間の耳は、不思議なもので視覚にも影響を受けて無意識に音声をゆがめてしまうからです。日本人は、英単語のスペリングをローマ字の延長で覚えています。例えば、多くの日本人は、Localの発音を「ローカル」と覚えていますが、ネイティブの発音だと「ロコ」に近いのです。「ロコ」と音声をまず聞いて、スペリングを見て「ああ、Localの発音はローカルでなくロコに近いのだな」と自分で確認していくプロセスがシャドーイングと言えるでしょう。

 このように、日本的な英語学習の音声を離れて、ネイティブの発音のリスニング力を高めるためには、あるがままのネイティブの音声を認識して、そのネイティブの音声と文字をひも付けて確認することが大事です。その上で意味を理解しながらシャドーイングできるようになるまで、何度も練習していきます。

 シャドーイングはなぜ効果的なのでしょうか。それは、「一般的な日本の英語教育を受けた人の英語とネイティブが話す英語との接着剤になるから」です。

 連載の第2回でも書いたように、ネイティブ話者の英語も、文字にすればそんなに難しいことは話していません。文法も単語もほとんどが中学英語の範囲に収まる程度です。それなのに、聞き取れないのは、日本人は聞いた音声を文字に落とせないからです。リアルな音声の英語と文字ベースの学習英語が分断されています。この2つを結びつける接着剤がシャドーイングなのです。日本人の文法力や単語力は高いレベルにあります。文字に落とすことさえできればリスニングは恐れるに足りません。

 たまにシャドーイングで音声のコピーだけをしている人がいます。また、そのような指導をしている英会話スクールもあるようです。しかし、音声のコピーのみでは、会話力はつきません。ただ、その教材音声を九官鳥のように繰り返すことができるようになるだけです。他の教材や会話を聞き取り、意味を理解できるようにはなりません。

 なぜならば、音声認識のみの練習で、意味理解の練習はしていないからです。これでは、音声を認識し、意味を理解し、回答を考え、構文にし、音声化して会話するまでに至らないのは当然のことです。

続きを読む 2/4 シャドーイングのための教材選び

この記事はシリーズ「その英語学習法、間違ってます!」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。