この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと教育設計学(Instructional Design)に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

メーカー勤務 Tさん(36歳)
 コロナ禍以前から、英語を話す外国人も参加する会議の進め方に悩んでいました。特にビジネスの関係づくりの最初の段階で、海外からのゲストの紹介も兼ねて役員や幹部も入る会議を設定すると、ゲストから「このミーティングでよかったのか?」と不安がられることが多かったのです。コロナ禍でオンライン会議になったので解消している面もありますが、アフターコロナになればまた海外からゲストを迎えることも増えると思います。どのように会議を進めれば相手とよいスタートを切れるでしょうか。

[回答]
 Tさん、非常によい質問ですね。外国人も参加する会議の運営は、英語力の問題もありますが、コミュニケーション・スタイルやビジネス文化の違いが大きな課題になります。悩んでいるビジネスパーソンは多いと思います。

 私もソフトバンク時代に悩んでいました。日本式に合わせるか、それとも米国式に合わせるのかに困るのです。ソフトバンクでは、孫正義氏が編み出した日本式と米国式を折衷した孫正義式ともいうべき方法があったので随分と助かりました。

 会議の運営でもっとも大事なことは、テーマ設定です。ところが、Tさんの質問にも紹介も兼ねてとある通り、日本式では顔合わせが目的でテーマがないことがあります。日本式ではそういったミーティングにこそ意味があるので、今も開かれているわけです。

 また、海外といっても米国企業と欧州企業を比較すると、欧州企業、特にフランスの企業などは日本企業のようにいったん持ち帰ってじっくり社内で検討する傾向があるように私は感じます。海外だから顔合わせを必要としないというわけでもないと思います。

 日本でも会社によって仕事の進め方は違いますし、上記のように海外企業も様々であることを考えると、海外のゲストと自社のしかるべき立場の人との顔合わせは必要だと思います。そうであればゲストに不安を与えないような、意味のあるミーティングにすることが重要になってきます。

 具体的に考えてみましょう。例えば、海外からのゲストに担当する役員が挨拶をする場合です。このような会議では、互いに会社紹介をして、「今後よろしく。あとは現場で検討していきましょう」といった話になることが多いものです。

 しかし、日本のビジネス文化を知らない海外のゲストからすると「なんのためのミーティングだったのだろう。次のステップが明確じゃないし、本当にこの会社はやる気があるのだろうか」という印象を受けるようです。

 日本企業とのビジネスの進め方について書かれている海外の本を読むと、このことが必ず書いてあります。そして「日本企業は長期的な信頼関係を構築することを重視しており、あなたの会社とビジネスをする気がないわけではないので、がっかりする必要はありません」などと慰めに似た言葉が書かれています。

 逆に、日本の会社が米西海岸の会社を訪問する場合などでも、同じようなことが起きます。日本企業は、会社の沿革などを説明して「今後、一緒にビジネスがやりたいです」という話をするのですが、相手はどこに興味を持てばよいのかが分からずに、失礼なことにスマホを見始めたりします。しかし、「失礼だろ!」とも言えません。結果として意味がないミーティングになり、当然ながら両社の間は何も進展しないといったことが多いのです。コロナ禍前は、私もこうした場面に何度か同席したことがあり、本当に冷や汗が出ました。

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