この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと教育設計学(Instructional Design)に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。
それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。
会計事務所勤務 Yさん(43歳)
今後、業務上英語を使う機会がますます増えそうなので、英会話をしっかり学びたいと思っています。その際に「アメリカ英語」と「イギリス英語」のどちらを学ぶ方がよいのかが気になっています。選び方のポイントについて教えてください。

[回答]
Yさんのような相談や、ネイティブ講師の希望を受講生からよく聞きます。TORAIZでは、一人ひとりの受講生のゴールから逆算した英語のネイティブ講師によるレッスンを提供しているので、そのような要望を出す方が多いのだと思います。
結論から申し上げると、「基本的には、アメリカ英語でよいと考えるが、自分の上司や交渉相手がイギリス英語の話者の場合などは、リスニングはイギリス英語で学習すべきだろう。また、スピーキングについては『自分が英語を学習する目的』から逆算して、実際に実現できる方法で学習すべきだ」ということになります。
このように書きましたが、「アメリカ英語とイギリス英語のどちらを学ぶ方がよいか」という問いに対しては、一概に答えを出しづらいものです。一般論としてイギリス英語の方がアメリカ英語より上品だと思われるかもしれないという考えから、イギリス英語を学ぶべきだという人もいます。もちろん時間が十分にあればそれでもよいと思います。しかし、忙しく時間がないビジネスパーソンの場合はそうもいきません。
ビジネスパーソンが学ぶという前提に立った場合、アメリカ英語とイギリス英語それぞれの特性に基づく選択する上でのポイントが3つあるからです。それらのポイントについて説明していきたいと思います。
ポイント1:英語のノンネイティブ話者にとって、リスニングにおけるイギリス英語とアメリカ英語の互換性は意外と低い
スピーキングはあまり問題がないのですが、リスニングでは大きな問題が出る可能性があります。イギリス英語とアメリカ英語では、発音に大きな差があります。
TORAIZには、英国でかなり長く勉強と仕事をした経験を持つコンサルタントがいます。彼に話を聞くと、「日本に帰ってきてから米国人と話す機会が増えてアメリカ英語の発音がイギリス英語と大きく異なりリスニングに大変困った。そこで米CNNを毎日聞いて半年で聞き取れるようになった」と言っていました。それほど発音は違うのです。
こうしたことから、アメリカ英語とイギリス英語のどちらを学ぶにしても、リスニングもしくはシャドーイングの教材選択が非常に重要になってきます。重要なことは、「自分が英語を使うシチュエーションの会話の相手はイギリス英語の話者か」ということになります。
もし、上司や交渉相手がイギリス英語の話者ならばイギリス英語の教材を選択する方がよいでしょう。また、オーストラリアやニュージーランドなどの英連邦の国の出身者である場合もイギリス英語がよいでしょう。
一方で、上司や交渉相手がイギリス英語の話者でないのであれば、アメリカ英語を学ぶべきだと思います。
イギリス英語でリスニング訓練をしてマスターしても、アメリカ英語を聞き取れない可能性が十分にあるからです。先にお話ししたTORAIZのコンサルタントがよい例です。これでは、イギリス英語に加えてアメリカ英語を追加で学習することになりかねません。
上司や交渉相手がイギリス英語の話者でないならば、まずはアメリカ英語でリスニングできるようになって、その後に必要に応じてイギリス英語のリスニングを学習する方が、トータルとしての費用対効果は高い可能性があります。
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