この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。
それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。
ITコンサルタント Sさん(38歳)
英語のリスニングもスピーキングも最低限はマスターしているつもりですが、英語を使うビジネスの場面では今ひとつ自信が持てません。その理由として英語の話者としての物腰やジェスチャーが身に付いていないからではないかと思っています。英語を話す際の物腰やジェスチャーはどうやったら身に付くでしょうか。
[回答]
Sさん、非常にいい質問ですね。実は英語を話す際の姿勢や視線の向け方、ジェスチャーはとても重要で学ぶべきことなのですが、学校や英会話スクールでは全くと言っていいほど学ぶ機会がありません。これは英会話というよりもグローバルに活躍できる人材の育成という観点で大きな問題だと私は思っています。
なぜなら「メラビアンの法則」があるからです。これは言語で伝える内容よりも非言語コミュニケーションが与える印象の方が優先されるとする有名な心理学上の法則です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者であるアルバート・メラビアンが1971年に提唱しました。
メラビアンは「視覚情報(Visual):表情や視線といった見た目やしぐさなど」が人に与える影響度は55%、「聴覚情報(Vocal):声の大きさや話すスピードなど」は38%、「言語情報(Verbal):会話そのものの内容」は7%と結論づけました。つまり、英語で話すときも、話す内容より表情や視線など見た目やしぐさがはるかに優位なのです。

では、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。最も重要なポイントは視線だと思います。
日本では、職場でのミーティングやお客様との会話の際、視線を相手の顔に向けて目を合わせることは失礼とされています。私も新入社員のときには、「失礼になるから視線を合わせるな。話す相手のネクタイの結び目あたりを見ろ。それがマナーだ」と指導されたものです。
それに対して、英語で話す際には相手の目をしっかり見ることが大事です。日本人の感覚からするとちょっと居心地が悪くてドギマギしてしまいますが、しっかり見ても失礼ではありません。むしろ視線を合わせないことは、「興味がない」という印象を与えて、失礼に当たると考えるべきです。ですから自分が話をするときだけでなく、相手の話を聞くときも目を見ることが大事になってきます。また、複数の人が参加しているミーティングでは一人ずつ順番に視線を合わせるのがよいでしょう。

実は、会話以上に視線を合わせるべきタイミングがあります。それは、握手をするときです。日本人の多くは握手をする際にお辞儀をするため、結果として地面を見てしまいがちです。しかし、このような振る舞いは、英語圏では「自信がない人物」「不審な人物」という印象を与えるようです。ですから握手している間はしっかりと目を合わせましょう。
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