この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

飲料メーカー勤務 Sさん(34歳)
TOEIC L&Rテストのスコアで社内基準を達成し、海外事業部門に異動になりました。海外の子会社に赴任することがほぼ決まっています。その準備としてVERSANTスピーキングテストを受けることになり何度か受験しているのですが伸び悩んでいます。この連載を参考にして、シャドーイングなど正しい学習法を必要な時間をかけて行っているのに結果が出ず困っています。どのようにしたらスコアが伸びるでしょうか。

[回答]
 Sさん、海外事業部門に異動となり海外赴任も決まっているとのこと。まずはおめでとうございます。

 SさんはTOEIC L&Rのスコアが社内基準を超えているということですから、話すための英語力のベースは持っていると思います。にもかかわらず、VERSANTスピーキングテストのスコアが上がらずに困っているのですね。会社の基準としてVERSANTスピーキングテストが採用されたものの、スコアが順調に伸びずに悩んでいるビジネスパーソンが最近、急増しています。

 VERSANTスピーキングテストはグローバルな教育企業として様々な英語教材を出している英ピアソンが実施しています。ピアソンの出版物として日本で知られているものとして、ロングマン英英辞典があります。

 VERSANTスピーキングテストは、スマートフォンやパソコンを使って20分弱でどこでもいつでも受験できます。人工知能(AI)による音声認識と自然言語処理でスピーキング力を測定して客観的にスコア化することから日本でもかなり広く普及してきています。

 TORAIZ語学研究所は、2021年12月に仕事で英語を使う機会があるビジネスパーソンを対象に、コロナ禍の英語学習に関するアンケート調査(n=434)を行いました(調査委託:マクロミル)。この調査によれば、VERSANTスピーキングテストのスコアを持っている人の割合は調査対象の全体の2割に上ります。同じようにTOEIC L&Rについても調査していますが、こちらは約8割の人がスコアを持っていることが分かりました。

 8割のTOEIC L&Rに比べると2割は少なく思えますが、仕事で英語を使うビジネスパーソンの2割が持つようになっていることはVERSANTスピーキングテストの日本での急速な広がりを示していると思います。

 また、80点満点のVERSANTスピーキングテストにおいて79~80点を取っている人が全体の2%(VERSANTスピーキングテストのスコア保持者の10%)、63~68点の人が同じく3%(同14%)います。英語のノンネイティブの話者としてかなり高いスコアを持っている人がかなりの比率を占めたことから、VERSANTスピーキングテストが本当に英語を話せることを証明するための試験として活用されていることがうかがえます。

【Q3】VERSANTのスコアをお持ちであれば教えてください。(n=434)
【Q3】VERSANTのスコアをお持ちであれば教えてください。(n=434)
【Q1】TOEIC Listening & Reading Testのスコアをお持ちであれば教えてください。(n=434)
【Q1】TOEIC Listening & Reading Testのスコアをお持ちであれば教えてください。(n=434)

 VERSANTスピーキングテストのスコアが伸び悩む最も大きな理由は、心理学でいう学習高原(プラトー)です。学習高原とは英語などの語学だけでなく、ゴルフなどのスポーツや筋トレ、ダイエットなど何らかのスキルを習得したり、体質改善をしたりする際に、スキル向上や成果の達成が停滞する局面を表す言葉です。