この連載では、英語コーチング・プログラム「TORAIZ(トライズ)」の約6000人の受講生のデータと学習工学に基づき、最小の努力によって最短で英語の学習目標を達成するためのノウハウを受講生や読者の皆様からの質問に答える形でお伝えしていきます。コメント欄でビジネス英語について何でもご質問ください。

 それでは今回も質問にお答えしていきたいと思います。

[今回の質問]

IT企業勤務 Tさん(26歳)
毎年、年初に今年こそ英語をマスターしようと思って英語学習を開始しますが、どうしても達成できません。どうしたら今年こそマスターできるでしょうか。

[回答]
 ほとんどのビジネスパーソンがTさんと同じ経験をしたことがあると思います。Tさん、今年こそ英語をマスターしましょう。

 今回は「どのように1年の計画を立てるべきか」をテーマにして、英語学習だけでなくより幅広い分野に役立つような話をしたいと思います。何かを習得するための方法論は共通だからです。

 1年の計画を立てる前に大事なことがあります。まず、立ててほしいのが10年ごとの自分の人生計画です。これはソフトバンクグループの孫正義会長兼社長から私が学んだことです。孫さんは、19歳の時に人生の50年計画を立てました。これがソフトバンクと孫さんの成功の第一歩だったのです。中身を見てみましょう。

20代で業界に名乗りを上げる。
30代で軍資金をためる。
40代で一勝負して、何か大きな事業に打って出る。
50代でそれをある程度完成させる。
60代で次の経営陣にバトンタッチし、300年以上続く企業に仕上げる。

 20代から50代までの計画は全て達成しています。20代でソフトバンクを創業し、30代で株式公開し、40代で通信事業に参入し、50代でiPhoneの独占販売で通信事業の地歩を固めました。現在は、いわゆる10兆円ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンドを手掛け、計画を仕上げようとしています。孫さんはこのように目的を着実に達成してきたのです。大事なのは1年の計画を立てる前にさらに大きな方向感が必要ということです。

 例として、私がよく知っているビジネスパーソンで、IT企業で働いているNさんを取り上げたいと思います。彼は学生の頃、私の会社で働いていたので、就職してからも時折、人生相談を受けていました。彼は、30代で海外勤務しながら子育てをしたいと思っていたそうです。彼はそのためのステップを的確に踏んで、海外事業を担当する部門に移り、来年度には海外に赴任する予定です。

 彼は20代半ばまで、とにかく自分の仕事で成果を上げることだけに集中していました(私もそのように助言しました)。こうしてためた資金を元に20代後半で国内大学のMBAを取得し、結婚。その後、TOEIC L&Rテストのスコアを取得して海外担当部門に異動しました。現在は、話すための英語の特訓をしているそうです。人生計画をしっかり立てて非常にうまくいっている例だと思います。

 50年分の計画を立てることはなかなか難しいと思います。特に日本企業に勤めている20代や30代の人が、40代、50代になったときの姿を思い描くことは非常に難しいと思います。しかし、Nさんの例のようにうまくステップを踏むためには、どの年代の人も10年先の自分のゴールを決めておくことは非常に重要だと思います。

 こうして立てた人生計画に基づき、今年のゴールを具体的に設定し、1年の計画を立てるのです。重要なことは、そのゴールに到達するまでにかかる時間を明確にすることです。

 例えば、「今年は、ゴルフをマスターして社外の人脈を広げよう!」という目標を立てたとしましょう。まず、マスターの定義ですが社外の人脈を広げるためであって、プロになるのがゴールでないならば120くらいスコアでコースを回ることができれば及第点としましょう。インターネットで検索をするとコースに出ることができるようになるまで3カ月程度、さらに120を切るには週1回の練習で1年が標準のようです。もちろん練習の頻度を上げればさらに短縮することもできるでしょう。

 私の実感としてもそうだと思います。恥ずかしながら私は学生時代にゴルフサークルに所属はしていたのですが、幽霊メンバーでした。少し前に完全な初心者としてゴルフを始めたのですが、自分自身や周りの人の上達の進度を見ると120切りまでには1年が標準のようです。

次ページ ゴールまでに必要な時間はだいたい分かっている