強くなるためには組織のコミュニケーション力も不可欠

須原:交渉はずっと続けていますが、本音の理由はとてもシンプルで、日本のサッカーレベルをもう一段上げなくてはならないということなんです。

 ですから、我々は今、指導者がグローバルになるために複合的なアプローチをしています。まずは日本代表が強くなる。ライセンスについては互換性が持てるように、私を含めて実務レベルでいろいろな交渉をしています。加えて、欧州でプレーヤーとして経験を積んだ選手に向こうでの資格を取ってもらうというアプローチもあります。

 欧州クラブでプレーヤーとして実績をあげ、語学能力も兼ね備えながら、思考回路やコミュニケーションスタイルが指導者に向いている選手が複数います。そのような方々には是非とも欧州でのS級取得にチャレンジしてもらいたいと思っています。

 最後は組織経営のグローバル化です。JFAの中にも日ごろから英語を使わないと仕事が完了しない環境はあります。例えば、恒常的に世界サッカー連盟(FIFA)やアジアサッカー連盟(AFC)と交渉が発生します。

 例えば、日本代表チームの試合を組む際には、森保一監督がどういったチームとの対戦を希望しているのか、技術委員長が何を考えているのかといったことを全体的に勘案した上で、ふさわしい候補を選びます。その上で相手チームの日程が空いているのか、マッチフィーはいくらなのか、最近は新型コロナウイルスの問題もありますから入国や出国はどうするのかといったことを英語を使って一つひとつ、つぶしていかなければなりません。ですので一部のセクターには英語が非常にうまい職員がいます。

 また組織の力だけでなく、リーダーのコミュニケーション力も非常に重要です。JFAの田嶋幸三会長の英語は必ずしも流ちょうではありませんが、FIFAやAFCの会議では完璧なコミュニケーションをします。そのおかげもあって世界におけるJFAのプレゼンスはかなり高い。こうした組織としての発言力は、競技のレギュレーションやスケジュールをどれだけ自国に有利にするかという点で非常に重要なのです。

 サッカーの場合、競技規則については国際サッカー評議会(IFAB)という組織が制定しており、政治力でどうこうなるものではありません。ただ、日程をどうするのか、大会ごとの規則をどうするのかについては実務レベルが頑張らないといけません。

三木:一部の人が英語を話せればよいというわけではなく、様々な関係者が結集して総合力で取り組まないといけないそうですね。

須原氏:そうなんです。いろいろなところから複合的に取り組まないといけません。そのためには、もっともっと多くの人が英語を使いこなせるようにならないといけない。流ちょうに話せる必要はありませんが、使いこなすことがとても大切なんです。

三木:ビジネスでも日本の会社は規格で負けることが多いですね。

須原氏:やはりデファクトを取りに行くことが大切です。

 先ほど審判の話も出ましたが、審判員はすでに英語を使う必要に迫られています。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されたので、これまで以上に言葉でやり取りする必要が出てきているためです。

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