2050年に「カーボンニュートラル」を実現すると表明した日本。20年末に国が出した、50年に向けての工程表「グリーン成長戦略」を専門家はどうみているのか。国のエネルギー基本計画の策定にも携わる橘川武郎・国際大学教授に聞いた。

橘川武郎[きっかわ・たけお]氏
京大学社会科学研究所教授などを経て2020年4月から国際大学国際経営学研究科教授。専門は日本経営史、エネルギー産業論。政府の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員としてエネルギー基本計画の策定に携わる。

国が2050年の「脱炭素」の工程表を発表し、50年時点での電源構成の参考値を提示しました。

橘川武郎・国際大学教授(以下、橘川氏):再生可能エネルギーが50~60%、アンモニア、水素を利用した火力が30~40%、原子力が0~10%という私の考える電源構成とそう大きく変わりません。

 新増設をしない方針の原子力は、このままいくと50年に多くても1割になる。原子力単体で割合を出すと1割という数字が明らかになってしまうので、国は、CCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)と組み合わせた火力と原子力を同じ分類にしたのでしょう。この点は問題ですが、全体の構成として実現するのは相当難しいけれど妥当性は高いと考えます。

この参考値をクリアしていく中でどのあたりに難しさがあるでしょうか。

橘川氏:1つは再エネを50~60%まで引き上げることです。量を確保できるかという問題ももちろんあるのですが、それより大切なのはコストダウンできるかという点です。

 太陽光発電は12年の固定価格買い取り制度(FIT)開始時に40円程度だった1kW時あたりの価格が今12円まで下がってきて政府の射程に入っている。それに対し、洋上風力は今30円を超えている買い取り価格を30~35年に8~9円まで下げる目標を掲げており、この壁はとても大きいです。

続きを読む 2/5 アンモニア混焼で既存の石炭火力を活用

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