2050年に「脱炭素」の実現を目指す日本。国内の二酸化炭素排出量のうち約4割を占めるのが電力会社を中心とする発電事業者だ。20年末、国が掲げた50年の電源構成の参考値では再生可能エネルギーは「50~60%」と提示された。50年に向けた見通しを、全国の電力会社10社が加盟する電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)に聞いた。

池辺和弘[いけべ・かずひろ]氏
1958年、大分県生まれ。東京大学法学部卒業後、81年に九州電力入社。87年ワシントン大留学派遣。発電本部部長や経営企画本部部長など歴任。執行役員、常務を経て2018年に社長。20年、電気事業連合会会長に就任。東京電力、関西電力、中部電力の主要3社以外の社長が就任したのは初めて。

2020年末に国が2050年の「脱炭素」に向けたグリーン成長戦略を出しました。

電気事業連合会の池辺和弘会長(以下、池辺氏):洋上風力発電や太陽光発電など再生可能エネルギーは天候や風況によって出力が上下します。それを補うための電源が必要であることを考えると、電源構成のうち50~60%を再エネにするというのは本当にできるのか、よく考えたほうがいいでしょう。

日本の電源構成の割合

 需要が供給を超えると「系統崩壊」になって、停電が起こる。もちろん再エネはぜひとも入れたほうがいいですよ。私が社長を務める九州電力も再エネを積極的に取り入れてきました。でも、今の技術では多くを再エネで賄うことはできない。だから、再エネの比率をどうするかをもう少し分析したほうがいい。電気をためる蓄電技術の革新的なイノベーションがなければ、再エネを増やすことは難しいのではないでしょうか。

150年前から求められていた「蓄電」技術はいまだ途上

2050年までにそうしたイノベーションは生まれるでしょうか。

池辺氏:例えば、今、誰もが持っているスマートフォンを30年前の人類に見せたら、この多機能性に驚くでしょう。でも現にこうしたイノベーションが生まれている。だから、そんなふうにブレークスルーさせないといけない。

 ただ、蓄電については、電気が発明された約150年前くらいから、ウエスチングハウスやテスラといった発明家がずっと考えてきたんです。これ、ためられたらいいのになって。それでもいまだにうまくいっていないんです。だから、国は基金を作って研究開発に資金を投じるんですけど、よほどメーカーや研究機関ががんばらないとブレークスルーできないでしょう。

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