経営学の理論は進化している。ここでは経営学の理論を実践していることで知られる星野リゾートが「教科書」とする本をひもときながら、最新の研究との関係を考察してみよう。

「星野リゾートの教科書」となっている理論と最新の研究を結びつけてみよう
「星野リゾートの教科書」となっている理論と最新の研究を結びつけてみよう

『1分間顧客サービス』と「サーバント・リーダーシップ」

 星野リゾートが教科書とする本の1つが、米国の経営学者、ケン・ブランチャード氏の『1分間顧客サービス』だ。この本のポイントは「顧客の期待に応えることを目標としない」というところにある。なぜかといえば、顧客の期待や要求に応えることは、顧客満足度を高めるが、ファン化にはつながらないためだ。顧客がファンになるのは、期待と予想を超えたサービスを受けたときだ。

 例えば、宿泊客から「シャンパンを買ったので、氷を持ってきてほしい」と言われたとき、スタッフができる限り早く部屋に持って行くことができれば、顧客は満足するだろう。しかし、ファンになるには十分ではない。ここで星野リゾートは、「以前泊まった際に氷を頼んだ顧客に対しては、次回泊まるときに、頼まれていなくても先に部屋へ氷を置いておこう」と考える。顧客からすれば、氷が部屋に置いていなくても不満を感じることはない。さらに、シャンパンを持ち込んでいなければ、氷自体が無駄になる可能性すらある。だからこそやるのだ。

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