「現場の問題を解決するために、経営学の知見を参考にしたい」と思った際、どうしたらいいだろうか。ここでは「グーグルスカラー」を用いて、自社に役立つ海外の最新学術論文を探す2つのポイントを説明しよう。世界のトップ・ジャーナルに掲載されている論文は英語で書かれているため、前提として基本的な英語力が必要になる。また、学術論文の探索には多様な方法があるため、ここに挙げるのは1つの例にすぎない。

検索する言葉を決める
私のこれまでの経験では、実際に検索を行う前のこのステップが、最も難しく、そして最も重要なステップだ。ここを間違えると、現場の問題とはかい離した見当はずれの学術論文を読む羽目になる。そのことに途中で気づけば時間が無駄になるだけですむが、気づかずに「この論文で……ということが実証されているから、うちの職場でも……を実践すべきだ」と結論付けてしまうと、職場に対して破壊的な影響を与えてしまう。
まず検討すべきポイントは、「ビジネスの現場で使われている言葉と、アカデミックなコンセプトとのひもづけ」だ。例えば「社員の活気がない」という問題に取り組みたいとしよう。「活気がない」という言葉を、そのまま英語に翻訳すると”not lively”や”low energy”といった単語が出てくる。しかし、これらはアカデミックなコンセプトではないため、そのままグーグルスカラーで検索しても目当ての論文にはなかなかたどり着けないだろう。
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