1990年代初めにバブル経済が崩壊し、追い打ちをかけるかのように2008年の1億2808万人をピークに人口が減り始めた。労働人口が大きく減れば、日本経済の縮小は必至だ。

 だがちょっとまってほしい。そもそもなぜ経済を成長させる必要があるのだろうか。「日本はすでに十分豊かになった」と説く専門家は少なくない。

 そんな経済成長不要論者の代表格である著名エコノミストの水野和夫・法政大学教授と、逆に「成長を諦めれば日本は亡国となる」と警告する伝説的投資家、ジム・ロジャーズ氏の双方をインタビューした。果たしてどちらが正しいのか。2人の主張に耳を傾ければ、自らの考えもまとまってくるはず。まずはロジャーズ氏だ。

ジム・ロジャーズ氏。若き日に知人と設立したヘッジファンドを通じて驚異的なリターンを達成し、「伝説の投資家」となった(写真:的野 弘路)
ジム・ロジャーズ氏。若き日に知人と設立したヘッジファンドを通じて驚異的なリターンを達成し、「伝説の投資家」となった(写真:的野 弘路)

「もう日本は十分に豊かなので、無理に経済を成長させなくてもよい」という専門家がいるのですが。

ジム・ロジャーズ氏:どこかから数兆円を借りてきて、私にください。あなたにワンダフルな体験をさせてあげられますよ。何が言いたいかというと、日本人が豊かだと感じているのは、単に政府が巨額の借金をしているからです。もっともっと借金を重ねて、私にください。けれども楽しい時間はいずれ終わります。借金が膨らみすぎて返済が困難になったとき、日本人は大変な思いをします。

 英国を見てください。1920年代まで世界で断トツに裕福な国でした。しかし豊かな暮らしを維持するために政府が借金を重ねた結果、70年代には首が回らなくなり、国際通貨基金(IMF)から緊急支援を受ける羽目に陥りました。その後、長く英国の人々は借金に苦しめられることになります。

 現在、英国は再び借金を膨らませています。米国も世界で最も借金が多い国になりました。日米英はクレイジーです。その中でも悪いことに日本は人口が減っています。納税者が減れば一体将来、誰が借金まみれになった日本を支えるのですか? 歴史上、人口が減り、借金を膨らませながら繁栄を続けた国家は1つもありません。

日本のことは日本人が決めてくれ

日本政府の借金、つまり国債の発行残高は約1000兆円に達しました。確かに巨額ですが、借金の貸し手のほとんどは日本人自身です。日本人は1900兆円に及ぶ預金などの個人金融資産をため込んでおり、その運用手段として日本の金融機関がせっせと自国の国債を購入している構図です。個人金融資産の規模を考えれば、今のところ日本は決して身の丈を超えた借金をしているわけではないとも言えます。借金をこれ以上増やさなければ、人口が減っても何とかやっていけるのでは?

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