
中国を代表するIT企業、アリババ集団が窮地に陥っている。
傘下の金融企業アント・グループが予定していた史上最大の株式公開(IPO)は、中国政府の横やりにより直前で延期になった。その原因となったとされる政府批判と受け止められる発言をした創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は数カ月間公の場に現れなくなり、消息不明説も流れた。マー氏は今年1月に一度オンライン上の会議に出席したが、その後は再び表舞台から姿を消している。
中国政府は独占禁止法違反により、アリババに対する巨額の罰金を検討しているとされる。傘下の香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」などの株式を手放すよう、圧力をかけているとの報道もあり、解体危機もささやかれる。
昨年11月11日「独身の日」のセールで、4982億元(約7兆9200億円)という巨額取扱高記録を叩き出す中国EC大手。中国人なら誰しも使うスーパー決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を提供する企業──。日本の消費者向けのビジネスが少ないこともあり、これまでマスメディアを通じて日本で伝えられるアリババの姿は表面的なものにとどまってきた。だが、そこからは中国政府が、ここまでなりふり構わずアリババを締め付けるに至った本当の理由は見えてこない。
アリババはいかにして巨大化し、中国経済全体に影響を及ぼすほどの存在になったのか。知られざるアリババの実像に迫る。
・ジャック・マーは二度消える EC・決済だけじゃないアリババ経済圏
・中国アリババの強さの源泉、「達磨院」とは何か
・画像検索で商品を案内、あの日本企業も利用するアリババの技術
・ユニクロ元幹部が仕掛けるアリババの「モノ作り」イノベーション
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