宇宙スタートアップ企業のALE(エール、東京・港)がNTTなどと組んで民間で気象観測衛星を打ち上げ、2025年にも宇宙での技術実証に着手する。背景にはこれまで海外に頼ってきた気象情報を少しでも国内で多く収集しようという機運がある。

2019年大型で猛烈な台風19号が日本列島に接近した(写真:NASA Worldview, EOSDIS/AP/アフロ)
2019年大型で猛烈な台風19号が日本列島に接近した(写真:NASA Worldview, EOSDIS/AP/アフロ)

 9月下旬、エールはNTT、理化学研究所、国立天文台と組み、産学連携プロジェクト「AETHER(アイテール)」を発足させた。同プロジェクトでは、海に囲まれ気候変動の影響も大きく受ける日本で、災害を減らすため小型の衛星を複数打ち上げることで大気を観測し、災害予防につなげる。

 人工流れ星や宇宙のごみ(スペースデブリ)除去に取り組むエールがプロジェクトのとりまとめや事業開発を担い、NTTが通信技術、理研が気象予報ソフト、国立天文台が観測機器技術を使ったセンサー機器をそれぞれ開発する。

岡島礼奈エールCEO(最高経営責任者)(右)らが会見し、災害予防への意気込みを語った
岡島礼奈エールCEO(最高経営責任者)(右)らが会見し、災害予防への意気込みを語った

 国連防災機関の報告書によると、00年から20年間の気候関連災害発生数は1980年からの20年間の2倍近くに上る。陸上に比べ、不足しているとされる海上の観測データの取得にも重点を置く。

衛星コスト100分の1で気象データを補完

 通常の気象予報は政府の「ひまわり」といった大型衛星が担ってきたが、自然災害の増加に伴い、より詳細なデータが必要になっている。今回のプロジェクトでは昼夜、天候に左右されず観測できる「マイクロ波サウンダー」を搭載した衛星を開発し、気象情報に必要な大気中の水蒸気と温度を観測する。

 1辺10cmの立方体である「キューブサット」と呼ばれる衛星を採用することで、1衛星当たり数百億円だったコストを数億円に抑え、政府衛星を補完する高頻度の観測を実施する。

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