IHIは宇宙ごみ(スペースデブリ)を監視し、衛星事業者などのサービス運営を支援している。その観測所はプラント事業などを手掛ける相生事業所(兵庫県相生市)にある。欧州の商業衛星打ち上げ大手、アリアン・グループと協業。上空に放たれた衛星の「見守りサービス」を提供している。
山陽新幹線の相生駅から車で10分の相生事業所。小高い山の上にひっそりと建つ観測所からは、穏やかな瀬戸内海が見える。この観測所が国内の民間企業で唯一、宇宙デブリを常時監視している拠点だ。

役目を終えたロケットや衛星などデブリは、高速で宇宙空間を行き交う。例えば、直径1cmのアルミ球が秒速7kmで衛星に当たってしまったとしよう。これは、時速30kmで走る1tクラスの自動車がぶつかるのと同じ程度のインパクトがある。小さな衛星にとって多大な影響を与える衝突となる。
衛星を飛ばす放送・通信などの事業者からすれば、サービスの基盤が破壊されるだけではなく、自らがデブリ増加の加害者になってしまう可能性もある。
公的には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、保有する人工衛星の安全な運用を目的に光学望遠鏡やレーダーでデブリを観測してきた。米国防総省の情報も活用しながら、衛星の軌道などを決定していた。
だが、これらは基本的にオープンに活用できるわけではない。そこで駆け込み寺となってきたのがIHIだ。10年ほど前からデブリを観測しており、15年に有償で観測データの提供を始めた。
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