ミサワホームは1968年から南極昭和基地に建物を供給してきた。南極では、建設の専門知識を持たない隊員が自ら建物を組み立てる。マイナス45度、風速60mという過酷な条件にも耐えられる構造が必要で、高い断熱性・気密性も求められる。人の手で組み立てやすい工法や極限環境に耐えるための技術は、宇宙空間でも生かされるのではないか──。こうしたノウハウを武器に、2017年に月面基地建設を研究する「かぐやプロジェクト」が社内でスタートした。

 宇宙空間特有の課題も明らかになってきた。例えば、大気のない宇宙空間で二酸化炭素を排出する換気システム。気密性との両立も課題となる。今後は、荒地の月面で水平な住宅を建設する方法も考える必要がある。

 月面住宅の実現に向け道のりは遠いが、南極や宇宙で磨いた技術は地上の製品に展開する想定だ。組み立てやレイアウト変更が容易な「セルサイクル工法」は大工・職人不足の解決策となり、災害時の仮設住宅にも生きる。二酸化炭素の濃度センサーと連動した換気システムは、換気量を最適化することでエネルギーや熱のロスを削減する未来の住宅技術にもつながる。

 かぐやプロジェクトリーダーの秋元茂氏は「日本の技術はいずれ宇宙での競争力になると思う」と話す。品質のバラつきがないように工場で部品を作りこむ技術や考え方は、安全性や品質の優先順位が高い宇宙空間では大きな強みになる可能性を秘めている。

NASAから届いたメール

 住と並んで暮らしに欠かせないのが食べ物だ。JAXAや民間企業、大学教授などが参加する宇宙食の開発プログラム「SPACE FOODSPHERE」は、40年に月面で1000人の長期滞在という大きな目標を掲げ、宇宙空間での食環境の整備に取り組んでいる。