スペースXの「スターシップ」は完全再利用型宇宙船。月や火星行きを想定している(写真:SpaceX)
スペースXの「スターシップ」は完全再利用型宇宙船。月や火星行きを想定している(写真:SpaceX)

 2人のカリスマの戦いで鍵を握る要素は、大きく3つある。一つは、1件当たりの受注金額が圧倒的に多い政府系の仕事をどれだけ勝ち取れるかだ。

 企業や大学など政府系以外の仕事で定期的に商業用ロケットを打ち上げている米企業は現在、スペースXと米ロケットラボしかない。スペースXは16年から100以上、ロケットラボはこの3年で18の打ち上げを成功させた。ブルーオリジンはロケットラボよりも回数が少なく、スペースXに圧倒的な差を付けられている。これまで小型ロケットに特化してきたロケットラボは3月1日、特別買収目的会社(SPAC)を活用して上場し、大型ロケット事業へ参入すると発表した。新たなライバルの登場だ。

 後じんを拝するブルーオリジンが今後、政府系の仕事をライバルよりも多く勝ち取れれば大逆転も可能だ。ブルーオリジンは20年12月にNASAと、地球観測や他の惑星の探査、衛星の打ち上げなどに同社の大型ロケット「ニューグレン」を使用する契約を結んだと発表した。運用期間は27年までだ。

 同社は現在、NASAが進める人類月面着陸計画「アルテミス」でも、スペースX、米IT企業のダイネティクスと契約獲得争いを繰り広げている。3社は20年にNASAから10億ドル弱の資金を与えられ、着陸船を開発中だ。採用されれば米政府が24年の達成を目標としている「人類初の女性の月面着陸」を手掛けることになる。

次ページ 通信事業でも狙う世界制覇