夢とロマンがあふれる人類最大のフロンティア、宇宙──。そんなイメージはもう古い。実際には憧れを通り越してビジネスの競争が始まっている。イーロン・マスク氏率いる米スペースXは国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り届け、米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏は突然、CEOの退任を発表し、宇宙ビジネスに力を注ぐと公言した。米国と覇権を争う中国が月で国旗を掲げるなど、宇宙は「作戦領域」と化している。資金力で2大国に劣る日本は、宇宙ビジネスでどう存在感を発揮していけばいいのか。(写真:PIXTA)
Focus 20
ついに来た宇宙経済ビッグバン

14回
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宇宙企業エール・NTTが気象衛星 災害多発に危機感、データで守る
人工流れ星を開発するスタートアップ企業のALE(エール、東京・港)などが気象観測衛星を打ち上げる。国内で相次ぐ災害に対応するため、日本の海上の大気にフォーカスして情報を集める。背景には災害増加への対応に加え、これまで海外…
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「1週間後にデブリと衝突リスクあり」 IHI、衛星守る監視役に
国内で唯一、民間で宇宙デブリ監視をしているのがIHIだ。プラント事業などを手掛ける相生事業所(兵庫県相生市)の小高い山にその観測所はある。デブリから衛星を守る「見守りサービス」を充実させるため、欧州のアリアン・グループと…
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宇宙の掃除道具はレーザー スカパー、軌道からデブリ追い出す撃退法
衛星放送「スカパー!」でおなじみのスカパーJSAT。同社は2026年の宇宙デブリ除去サービス商用化を目指す。開発するのは、触れずに微弱なレーザーでデブリを撃退するユニークな手法だ。
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宇宙旅行も安全に デブリ除去で先陣、アストロスケール
宇宙スタートアップ企業のアストロスケールが近く、世界で初めて宇宙デブリ除去の実証実験を始める。2024年までに商用化する見通しだ。
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大分で米社がアジア初の「宇宙港」、決め手は温泉と町工場
「大分がアジア初の宇宙港に」──。2020年4月、米ヴァージン・オービットと大分県が提携し、2022年の人工衛星打ち上げを目指すという計画が突如発表された。同年9月には内閣府の「宇宙ビジネス創出推進自治体」にも選定。地元…
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江戸文化の町、日本橋に集まる「宇宙人」
宇宙ビジネスに挑戦してみたいが、何から手をつければいいか分からない。そうした迷える人々が、手掛かりを求めて集まる場所が東京・日本橋だ。宇宙ベンチャーや宇宙航空研究開発機構(JAXA)だけでなく、宇宙ビジネスを志す有志団体…
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月面ハウスで晩酌を、宇宙の「衣食住」に日本企業の勝機はあるか
米国でロケット打ち上げが相次ぎ、「宇宙移住」という遠大な構想を掲げる国家や個人の登場が日本企業の挑戦心をくすぐり始めた。ここ数年というスパンの勝負の先に、「宇宙で暮らす」という未来を見据えた動きが活発化している。キーワー…
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野口さんに届いた!個人が宇宙に挑む時代、下町ロケットを超えろ
異業種とベンチャーの参入で成長の兆しを見せる日本の宇宙産業。この勢いを加速させるには、豊富な人材が不可欠だ。しかし現状、日本で宇宙機器産業に関わる人材は1万人未満。流動性も低く、層は薄い。宇宙人材を輩出する苗床をどうやっ…
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マスク氏がいない日本の宇宙ベンチャー、目指す「グレートニッチ」
イーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏らカリスマが率いる米宇宙ベンチャーの勢いはすさまじい。2015年ごろから活発になり始めた日本の宇宙ベンチャーはどこに活路を見いだすべきなのか。今は小さくとも潜在力は十分な「グレートニッ…
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三井物産が国際宇宙ステーションの後継計画に名乗りへ
総合商社の三井物産が、2025年以降に「引退」が検討されている国際宇宙ステーション(ISS)の民間主導の後継計画に名乗りを上げる方針を固めたことが、日経ビジネスの取材で分かった。
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ソニーが「宇宙を解放する」、パナ社員は「航空宇宙事業本部」設立
ソニーやパナソニックなど宇宙と一見縁遠そうな電機が、相次いで宇宙ビジネスへの関心を高めている。官需に支えられたピラミッド型の産業構造から、民間活用を拡大するという転換期に、宇宙好き社員の思いが重なった。日本の宇宙ビジネス…
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トヨタが挑む月面探査、灼熱・極寒の荒野で目指す「ランクル」激走
トヨタは月にどんな資源があるのかを探査するため、JAXAなどと協業して有人与圧ローバ「ルナ・クルーザー」の開発を進めている。「過酷な月で技術を磨ければ、地球をより良くすることにつながるのではないか」という。月で水素社会を…
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ベゾス氏VSマスク氏、2人の天才が開く宇宙ビジネス勃興の扉
宇宙事業の民間委託の流れに乗り、民間初の有人飛行も達成した米スペースX。そこに待ったをかけるのが、米アマゾン・ドット・コムCEOを今年退任するジェフ・ベゾス氏だ。2021年、2人の激突が着火剤となり、宇宙経済の大爆発が巻…
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宇宙空間で一触即発、米国を本気にした中国の挑発行為
探査機が月に、火星に到達した──。毎日のように米中の「偉業達成」が伝わる。 その裏で宇宙では米国の衛星に中国の兵器が接近する挑発行為を繰り返している。トランプ氏が掲げた宇宙軍は、バイデン政権下でも絵空事ではなくなっている
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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