東日本大震災の直後から、対象商品の売上高の1%を震災復興支援に充てる取り組みを継続しているアスクル。10年目の節目を迎え、その手法を大きく変える。NPO法人や教育機関への寄付ではなく、被災地の経済的成長に寄与する事業に投資する「インパクト投資」の資金に充当するのだ。事業を通じて社会的なリターンを生むことで、持続可能な循環型の支援を目指す。

 この3月11日、東日本大震災から10年の節目を迎えた。アスクルは震災の直後から、一部のオリジナル商品の売り上げの1%を寄付する復興支援活動を続けてきた。

 しかし4月から、そのスキームを大きく見直す。支援の原資は、アスクルと商品の製造企業で折半してきた。このうちアスクルが負担する部分を寄付ではなく、被災地の事業者への投資に切り替えることにしたのだ。

アスクルはカタログやウェブサイトを通じて被災地支援の取り組み内容や成果を消費者に伝えている

 「被災地にヒアリングした結果、震災から10年が経過して物的な復興は一段落してきたと感じている。今後は持続的に成長をサポートできないか検討した結果、寄付ではなく投資のほうがよいと考えた」。アスクルの四夷麻子・コーポレート本部サステナビリティ(社会・ガバナンス)部長はその理由についてこう話す。

ここ数年は被災地の教育機関に機材を寄付することで人材育成を支援してきていた(岩手県立宮古工業高校に寄付した3Dプリンター)

 同社は2011年8月~14年8月までNPO法人への寄付を通じ、水産加工場の復旧や特産品づくり、観光推進事業などの産業復興支援に取り組んだ。14年8月からは、学校への教育機材・設備などの寄贈を行っている。これまでの支援金額は累計で1億1000万円超。ただし、寄付となると対象はNPO法人や行政などに限られてしまい、被災地の経済成長を担うスタートアップ企業などに直接資金を届けることは難しかった。

 加えて、支援金を出して終わりという関係性だけでいいのか、という課題意識もあったという。そもそもアスクルが対象商品の売り上げの1%を東日本大震災復興に充てることにしたのは、余剰資金による慈善活動ではなく、本業を通じて継続的な社会貢献をする狙いがあったからだ。

 投資という形で被災地の経済成長に寄与する事業に資金を出せば、継続的な関係性が持てる。またその事業が成果を出して金銭的なリターンを得られれば、その資金をまた別の事業に投資でき「循環型の支援になる」(四夷氏)。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1152文字 / 全文2080文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、9年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「今こそ「三方よし」経営」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。