新型コロナウイルスの感染が急激に拡大し始めた2020年2月中旬、中国・武漢の病院ではコニカミノルタの現地社員が防護服に身を包みながら作業をしていた。

武漢大学人民医院で超音波診断装置の設置作業をするコニカミノルタ社員
武漢大学人民医院で超音波診断装置の設置作業をするコニカミノルタ社員

 画像技術を生かし医療用の画像診断機器の開発・生産にも取り組んできたコニカミノルタ。ヘルスケア事業は海外にも展開し、中国にも現地販売会社を置いている。20年1月23日、武漢の都市封鎖が実施されると、現場から「何か我々にできることはないだろうか」との声があがった。病院の救急部門や集中治療室(ICU)では超音波診断装置が利用されることも多い。コロナ対応にも活用できると考え、自社製品の寄贈を決めた。

 武漢へ機器を運び込むための許可を取り、上海から8台の製品を陸送。製品を送るだけではなく、現地で機器の設定や使い方の指導をする必要があるため、武漢地区内に住む社員が病院へ赴いた。検討開始から2週間。重症患者が集まる6つの病院へ製品が配備された。

武漢市内の6カ所の病院へ超音波診断装置が寄贈された
武漢市内の6カ所の病院へ超音波診断装置が寄贈された

 社会のために、いま何ができるのか──。コロナ禍で立ち上がったプロジェクトはまだある。国内では20年3月末から3カ月間、中小企業のテレワークを支援するITサービスを無償提供した。これもきっかけは販売会社の商品企画担当者の発案だった。このサービスを使えば、オフィス内の複合機に届いたファクスを社外で閲覧できるなど、在宅勤務の手助けになる。「いつもお世話になっている顧客の役に立てないか」との声があがり、検討開始から約2週間で無償提供にこぎつけた。

 こうした一連の活動には共通点がある。上からの指示は無し。全て、現場の社員が起点となって実行したものだ。

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