「ワォ、Bコーポレーション!? アメイジング!」
公園、個人宅の庭造りなどを手がける石井造園(横浜市)の石井直樹社長は3年ほど前、出張先のルーマニアで出会ったドイツ人の環境活動家に名刺を渡したところ、こう驚かれた。名刺に記されていたのは「B Corporation(B企業)」の文字。日本での知名度は低いが、米アウトドア用品大手パタゴニアなどが取得するなど、株主至上主義から脱却しようとの世界的な流れの中で注目を集めている認証だ。
韓国で開かれた社会貢献に関する国際フォーラムに参加した際には、オランダ人や台湾人のCSR(企業の社会的責任)部署の担当者からも握手を求められた。石井社長は「従業員14人の小さな企業が、こうして海外で称賛されるとは思わなかった」と認証の効果に驚く。

B企業は世界で3800社以上が登録
B企業のBは、「利益」を意味するBenefitの頭文字を取ったもの。この場合の利益は、労働者や地域社会、環境などに広く関わる全体利益のことを指している。B企業は、アメリカの非営利団体「B Lab」が審査・認証しており、世界で3800社以上が登録している。企業統治、従業員、地域社会などの分野の設問に答え、200点満点中80点以上取れば合格となるが、合格率は1割以下とされる狭き門だ。石井造園の得点は81.9点。従業員と経営陣の対話、地域貢献活動などが評価された。
認証された場合、多くのステークホルダーを重視するというように定款を変更し、年2回、B企業の活動に関する調査リポートも提出する必要がある。年会費もかかり、「社会貢献は余裕があってこそできる」との認識が強い中小企業にとっては負担が大きい。実際、日本で認証を取っているのは石井造園含め6社しかない。


「うちはそもそもCSRを活動の中心に据えている。認証のために活動をしているのなら大変だが、負担にはなっていない」と石井社長は笑う。
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