コロナ禍で猛烈な逆風にさらされている外食、観光などのサービス関連企業。株主のみならず、従業員、取引先、社会重視の「三方よし」経営を実践しようとする企業も業績が悪化し、頭を抱えているのが実情だ。長崎ちゃんぽん店などを展開するリンガーハットもその1社だ。

 「コロナ禍での売り上げ減少の影響は前年比80%の想定だったが、一時約5割減となるなど想定以上に業績が悪化し、コスト削減に着手した。“聖域”をつくってはいけないと考えた」

 リンガーハットの佐々野諸延社長は苦渋の表情でこう語る。同社は2020年12月、五輪体操男子で2大会連続金メダルを獲得し、東京五輪出場を目指している内村航平選手との所属契約を打ち切った。17年に契約し、期間は21年末まで残っていたが、新型コロナの影響には勝てなかった。

 外食産業では、売上高の前年比95%前後が損益分岐点の目安となっているとされる。そんな中、リンガーハットは同比80%になっても耐えられるコスト構造に変えようとした。20年6月ごろから経営会議で毎週、あらゆるコストを徹底的に洗い出し、役員報酬、不採算店舗の不動産賃料、商品開発などのコンサルタント契約料、諸団体の会費など、考えられるもの全て見直した。役員報酬を10~30%カットし、約120店を閉めるなど矢継ぎ早に手を打ったが、内村選手との契約も例外ではなかった。

五輪2大会金メダルを獲得した男子体操の内村航平選手。17年プロ転向を宣言し、リンガーハットと所属契約を結んだ(写真:共同通信)
五輪2大会金メダルを獲得した男子体操の内村航平選手。17年プロ転向を宣言し、リンガーハットと所属契約を結んだ(写真:共同通信)

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