人材育成が一番のリスク回避

道頓堀ホテルはスタッフの裁量で自分が考える顧客サービスを実現できるなど、人材育成に対する独自の考え方がユニークな顧客体験につながり、訪日客の人気を集めていました。この1年を振り返って、いかがでしょうか。

橋本氏:人材育成が一番のリスク回避になる。そう改めて感じています。こういう厳しいときでも本当に頑張ってくれる。昨年、沖縄で新たにオープンしたホテルの支配人は27歳。きちんと人を育ててこなかったら、皆辞めていたかもしれないなと。

 昨年、前回の緊急事態宣言が明けてもホテルはオープンできない状態が続きました。そこで始めたのが、地域のボランティア活動です。朝はゴミ拾いをして、近くの飲食店のメニューを中国語や英語に翻訳するという活動も始めました。通天閣の下に歴史についての説明文あるんですが、それも翻訳しました。すべて無償です。かなりの数やりましたね。

 自社の強みを生かして地域社会の役に立つのが企業の存在意義です。もともと訪日客向けがメーンであったため、我々のスタッフには外国人も多くいます。今は残念ながら訪日客を受け入れることが難しいですが、言語に強いことを生かして誰かのために動くことが、やりがいにつながります。

 Go To トラベルでは、同時に発行される地域共通クーポンが周辺の飲食店でも使えます。メニューの翻訳はGo Toの制度が出てくる前の取り組みでしたが、飲食店に喜んで頂いたことで、その後の提携がやりやすかったですね。今後、海外の宿泊客が戻ってきたときには、母国語のメニューがある飲食店を紹介できるようになります。反対に、「あ、ここは紹介したくないな」という店も分かりました(笑)

 この4月には新卒の社員も7人入ってきます。このような時期に採用すべきかどうか、私自身もとても迷いました。でも、将来のことを考えて、優秀な人材を採りたいと決断しました。

 蓋を開ければ、300人もの応募がありました。こんな小さい会社ではありえない数ですが、「日本と世界の懸け橋に」という、我々の思いに強く共感してくれる人は数多くいるわけです。最初は3人と思っていましたが、結局7人の採用となりました。誰も内定辞退せずに入ってきてくれます。本来ならエアライン会社に入っていたようなびっくりするような優秀な人ばかりです。

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