新型コロナウイルス後も、リモートワークが定着するのか、以前のように出社する形に戻るのかは、定かではないが、リモートワーク下で働き続ける部下を評価する時期が今年もやってくる。リモートワークで離れて仕事をする部下を、上司はどう評価したらよいだろうか。
離れていても「過程」に目を向けよう
まず考えるべきは、リモートワーク下において、何を評価すべきかという点だ。
一般的な評価制度におけるポイントは大きく分けて3つある。情意評価(仕事に対する姿勢)、行動評価、成果評価だ。特に情意評価は多くの日本企業が取り入れている評価項目である。
とある老舗メーカーA社の例を挙げる。A社の評価項目の割合は情意評価6割、行動評価2割、成果評価2割。情意評価に大きく偏った評価をしていた。社員が勤勉で、協調と助け合いを重視する社風こそが同社の強みで、それを維持するための評価制度だった。
ただ、情意評価は普段同じ職場にいればこそ可能なもので、リモートワーク下では適切に評価を下すことが難しいだろう。むしろ、部下の勤勉性などは、実際の行動やそれによって得られた成果から判断するしかない。

ただし、これは極端な成果主義を是とするわけではない。リモートワークといえば、「どうせ行動は見えないのだから、どんな行動をしても(たとえ家で大部分の時間ゴロゴロ寝ていても)成果さえ出せればよい」とも捉えられがちだ。しかし、リモートワーク下であっても、結果に至るまでのプロセス(行動)も把握して評価の対象に加えることは可能だ。
例えば、コロナ禍でリモートワークに移行した大手広告代理店では、目標管理制度の一環として、KPI(Key Performance Indicator:ゴールまでの重要プロセス指標)を設定し、半期に一度の人事評価ではゴール(成果)だけでなく、KPIの達成率も評価の対象としている。これによって、部下を放置せず中間地点で成果までの達成度合いを確認し合い軌道修正したり、仮に成果に結びつかなくとも一定の評価を与えたりすることができる。
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