企業の新卒採用の在り方に大きな変化が起きている。コロナ禍によって、従来は対面が基本だった採用活動は2021年卒向けから軒並みオンライン化した。今や、首都圏の大手企業から地方の中小企業に至るまで、多くの企業が採用活動をオンラインで行っている。

コロナ禍で採用面接は急速にオンライン化が進んだ(写真はイメージ=PIXTA)
コロナ禍で採用面接は急速にオンライン化が進んだ(写真はイメージ=PIXTA)

 だが、実は採用活動のオンライン化は、コロナ禍がきっかけで始まったわけではない。オンライン化のメリットに気づいた国内の先進企業では、2018年ごろから導入が始まっていた。例えば、サイバーエージェントは2019年にはすでに「サイブラリー」という名称で動画配信による説明会に切り替えていた。その結果、地方在住の学生にもアプローチできるようになり、大都市圏に住んでいない学生の応募が激増したという。

 こうした成功例がぽつぽつと出てきたところで、コロナ禍が一気に採用のオンライン化を加速させた。しかし、オンライン採用の特性やメリットを理解しないまま変化を強いられ、今なお暗中模索で不安を抱えている企業も多いと思う。私事だが、昨年からオンライン面接での注意点などを把握するための、面接官研修の依頼が非常に多くなっている。採用面接のオンライン化に悩みを抱えた採用担当者が少なくないことを示しているのだろう。

オンラインでの採用活動は決して対面の劣化版ではない

 不安を抱えているのは企業側だけではない。学生も同様だ。

 現在就活中の学生とキャリア相談会をした際、彼らもまた、「オンライン面接でうまく自分のことをアピールできるのか」と、異口同音に不安の声を漏らしていた。オンラインで行うグループディスカッション(GD)が特に苦手だと漏らす学生も多かった。

 GDでは議論を通して複数のメンバーの意見をうまくまとめ、最終的に合意した結論を導きだす必要があるのだが、オンラインの場合「参加者同士で会話がぶつかる」「リアルタイムで誰が会話のボールを持っているのか分かりづらい」といった悩みをよく耳にする。オンライン面接が主流となってから2年目で、まだまだ学生側のノウハウも蓄積されておらず、不安な就活生が少なくないのが現状だ。

 では、企業・学生双方にとってオンライン上での採用活動、就職活動は今後どのように進めるべきなのか。

 採用のオンライン化が一気に加速し始めた2020年の4~6月、クライアントの人事担当者から最もよく聞かれた質問は、「オンラインで人を見極められるのか?」と「オンラインで本当に入社意欲の醸成(フォロー)ができるのか?」という2点だった。

 結論から言えば、1つ目の疑問に対する答えは「Yes」、2つ目は「条件付きYes」だ。面接官の視点に立てば、オンライン面接による学生への評価は辛口になりやすい。「雰囲気」や「話し方」など、非言語コミュニケーションも評価の対象となるリアル面接と異なり、オンライン面接では純粋に「話している内容」のみに焦点が当たるからだ。

 これは裏を返せば、「正確な見極め」は対面よりも確実性が上がるということ。目の前の人を見極める際、人にはさまざまな心理的バイアス(偏見や思い込み)がかかるが、これは判断の正確性をゆがめさせる原因となる。心理的バイアスは発言内容(言語情報)よりも身ぶり・手ぶりや表情などの非言語情報から強い影響を受ける。他方で、画面上にバストアップしか見えないオンライン面接は、非言語情報が少なくなる。結果、「雰囲気」や「話し方」に惑わされず見極めの精度は高まる。つまり、オンライン面接は対面面接の劣化版ではない。

続きを読む 2/2 “キャッチボール”ではなく“一球入魂”

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