しかし、テレワークの影響で、対面しての交流や雑談の時間がなくなり、部下や同僚の様子は見えづらくなった。管理職の場合、コロナ前は部下の業務工数管理を厳密なデータに基づいて行うのではなく、「顔色」を見ていわゆる「やばそうか否か」を判断していた人も多かっただろう。

 私のクライアントの、とある中堅建設会社では、部下の業務負荷を定量的に管理せず見かけ上の印象で「業務を追加しても問題ないかどうか」を判断していたケースが散見された。こうした例は特別なものではない。そしてコロナ前は、それでも特にマネジメント上の問題が発生しないことが大半だったのだ。

リアルで出会えないからこそ、オンライン上で部下の様子を知ろうとする姿勢が重要だ(写真はイメージ、PIXTA)
リアルで出会えないからこそ、オンライン上で部下の様子を知ろうとする姿勢が重要だ(写真はイメージ、PIXTA)

 だが、テレワークで部下の状態を職場で観察できなくなると、自らアラートを上げられない部下、特に新人や年次の浅い若手は疲弊しやすい。これではメンタルの不調、ひいては離職につながりかねない。ある建設会社では、初めからリモートワークとなった2020年度入社の社員からメンタル不調者が続出してしまうという課題があったので、オンライン環境でも部下のメンタルケアができる管理体制を取り入れた。

 現場の社員同士も互いの様子が分からなければ仕事に一体感が生まれず、ひたすら自分に割り当てられた作業をこなす日々が続いてしまう。メンバーシップ型雇用になじんだ日本人は、チームで力を合わせながら仕事をこなすことにやりがいを感じている社員も多い。コロナ前のマネジメントに固執していては、チームは空中分解し、思うような成果は上げられなくなるだろう。

「助け合う場」を創出する必要性

 コロナ下の組織マネジメントでは空間的に離れている状態でのチームビルディングに力を入れる必要がある。そのためには各人の状況を、あえて共有する場、困っている人に手を差し伸べ合う場を、管理職が率先して作りだすことが重要だ。こうした場はコロナ前は職場で自然発生してきた。

 今後はこれらを「意図的に」、なおかつ「オンライン上で」創出する必要がある。

 具体的に考えられる手立てとして、まずは日報などで各社員の業務量を把握したうえで週に1度の朝会を行い、一人ひとりの状況を共有させること。もしくは、1回15分から30分の1on1面談を少なくとも週1回、できれば3日に1回程度取り入れて部下の細かな変化に気づくことも重要だ。

 前出の建設会社ではこの手法を取り入れた。ただし、1回あたりの面接時間は長過ぎると管理職の業務負担が増してしまう。一方で、頻度が少な過ぎても部下の心は離れてしまう。短時間で頻度は多く。これがオンライン面談を意義あるものとするコツだ。

 私が人事コンサルを担当したあるITベンチャーでは在宅勤務に移行後、新たに朝会や1on1面談といった情報共有の場を設けた。すると、部下のエンゲージメントスコア(仕事への熱意や会社への愛着)が在宅勤務移行前よりも僅かながら上昇したという。これは職場に出勤していた時よりも上司との会話量が増えたことで、部下の安心感が増したことが理由と考えられる。