台湾問題などをめぐり、米中対立が長期化している。僕が関係者から得た情報によると、米国のバイデン大統領は、台湾問題において今ひとつ自信がないようで、日本の役割に大いに期待しているという。ここで岸田内閣はどう動くのか。キーマンとなるのは林芳正外相だ。

岸田首相は林氏を外相に置いた(写真:代表撮影/AFP/アフロ)
岸田首相は林氏を外相に置いた(写真:代表撮影/AFP/アフロ)

 岸田文雄首相は第2次内閣で外務大臣に林芳正氏を起用した。安倍晋三元首相や麻生太郎副総裁が難色を示したものの、岸田氏が強く推薦して押し通したのである。林外相は2017年12月から超党派の日中友好議員連盟の会長を務め、外相就任の記者会見で同会長を辞任すると表明したものの、親中派といわれている。中国には「日本が中国を重視して向き合っていく姿勢の表れだ」というメッセージとして受け取られ、岸田内閣を歓迎しているという。

 3年ほど前、僕が当時、自民党の幹事長を務めていた二階俊博氏と会ったときのことだ。二階氏は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が絶大な信頼を寄せる人物だが、そろそろ後継者を決め始めなければならない時期だった。僕は、「林芳正氏はどうだろうか」と推薦した。

 二階氏は日中関係を友好に保ちたいと考えている。林氏も親中派であり、方向性は一致しているはずだと思ったのだ。

 岸田氏も、そういった関係を踏まえて林氏を起用したと考えられる。それにしても、なぜ岸田首相は安倍氏の強い反対を抑えてまで林氏を起用したのか。

 それは米中対立が今後ますます深刻化する恐れがあるからだ。僕が情報筋から得たところでは、中国が2024、25年あたりに、台湾を武力攻撃する可能性があるという。実のところ、今年9月に行われた日米首脳会談(菅・バイデン会談)での最も大きなテーマはここだった。中国に台湾を武力攻撃させないためにはどうすればいいかについて話し合ったということだ。

 バイデン氏は台湾問題において今ひとつ自信がないといわれ、重要な役割を担うのが日本になりそうだ。米中対立の懸け橋になれるのか。台湾が中国からの武力攻撃を回避するために、日本はうまく立ち回ることができるのか。その鍵を握る人物こそが、林外相なのである。11月21日放送のテレビ番組「激論!クロスファイア」に林氏を招いて日米同盟や米中対立について議論した。

 一部世論からは、林氏が外相になったことで「日本は中国の言いなりになってしまうのではないか」との批判の声も上がっているが、そういった単純な話ではない。米中対立、そして台湾問題を見据えた人事なのである。

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