ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まって1カ月半ほどが過ぎた。国内でさまざまな動きが広がる中、安倍晋三元首相は「敵基地攻撃」の可能性など踏み込んだ発言が目立つ。岸田文雄首相は安倍氏に乗っていないが、自分の代での憲法改正を意識している。

安倍晋三元首相は「敵基地攻撃」の可能性など踏み込んだ発言が目立つ(写真:共同通信)
安倍晋三元首相は「敵基地攻撃」の可能性など踏み込んだ発言が目立つ(写真:共同通信)

 ロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、停戦交渉が行われているが先が見えない。この侵攻について僕は、ウクライナ側に付く北大西洋条約機構(NATO)や米国、ロシアともに大誤算があった結果だと思っている。

 NATOや米国の誤算はプーチン氏のウクライナへの執着の強さだ。ウクライナは2019年に改正した憲法に、将来のEUおよびNATOへの加盟を明記した。プーチン氏がそれを嫌ったのは明らかだが、NATOはプーチン氏が軍事行動を起こすほどとは想定していなかった。

 ロシアにも誤算があった。ロシアの侵攻前、ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率は低く、プーチン大統領はウクライナに軍事侵攻すれば、簡単にゼレンスキー政権は倒れ、親ロシア政権を打ち立てられると踏んだ。ところが侵攻してみれば、ゼレンスキー氏の支持率は90%以上に跳ね上がった。

 今、世界中でロシアは非難の的になっている。しかしロシア国内でプーチン氏の支持率もまた急上昇している。戦時下ではどこの国でも愛国ムードが盛り上がるから、この動きは当然と言えるだろう。太平洋戦争時の日本もそうだった。一昔前までと異なり、今はSNS(交流サイト)などの情報発信も多いが、ロシアの一般市民はそうした情報に触れる機会はあまりなく、政府系メディアに頼っているのだろう。

 ロシアのウクライナ侵攻を受ける形で、安倍晋三元首相はこのところ、日本の防衛力強化、敵基地攻撃の可能性など、かなり踏み込んだ発言をしている。僕はこれには、今まで安倍氏がプーチン氏にすり寄り過ぎたと批判されたのに対する反動があるとみている。

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