岸田内閣の支持率は30%前後に低迷したままである。にもかかわらずなぜ今、増税の方針を打ち出したのだろうか。増税については国民の納得が得られるかは不透明だ。

強気姿勢が目立つ岸田首相(写真=ロイター)
強気姿勢が目立つ岸田首相(写真=ロイター)

 日本の防衛政策が大転換している。

 日米両国の政府が先日、米国のワシントンで開催した外務・防衛担当閣僚協議(日米安全保障協議委員会)、いわゆる日米「2プラス2」で、反撃能力の効果的な運用に向けて日米間の協力を深化させることで合意した。

 日本の防衛はこれまで「日本が盾を、米国が矛を担う」という考え方だった。しかし、今回の協議では「日本が矛の役割も果たす」と述べたに等しい。

 振り返れば2022年、岸田文雄首相は、防衛費をGDPの2%以上に増額する考えを打ち出した。一連の動きは、米国の強い要請による、と僕は考えている。

 これはさかのぼれば、オバマ大統領の時代に行き着く。オバマ氏は「米国は世界の警察官の役割を降りる」と表明した。米国の経済力が弱体化し、第2次世界大戦終結後長く続いたパックス・アメリカーナを、米国1国では維持できないと判断したからだ。そうした中で米国は、日本に軍事的協力を求めるようになっていく。安倍晋三政権時代に実現した集団的自衛権の行使容認もその延長上にある。

 さらに22年はロシアがウクライナに侵攻し、中国では習近平(シー・ジンピン)国家主席が、台湾統一のためには武力行使も辞さない決意を表明した。岸田政権も米国の要請に応えざるを得なかったと思う。

 この大転換は、専守防衛という日本の防衛の枠組みを越えるが、米国に要請されたら断ることはできないのだろう。仮に日米同盟を破棄したら、自前の防衛力を拡充しなければならず、米国の核にも頼れない。となると、防衛費は現在の3、4倍にはなるだろうし、独自に核兵器を持つことも必要になる。

 だから自民党内部からも防衛費の増額については異論は出ない。議論になるのは膨らむ防衛費をどこから持ってくるかだ。安倍氏が財源に想定していたのは国債だった。しかし国債は子孫にツケを回すことになるので、岸田氏はこれを増税で調達しようとしている。僕も国債より増税の方がよいと思う。国会で岸田氏は増税について、国民が納得する説明ができるかどうかが問われる

 岸田内閣の支持率が30%前後に低迷したままなのに、岸田氏はなぜ増税を打ち出したのだろうか。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1815文字 / 全文2800文字

【初割・2カ月無料】有料会員の全サービス使い放題…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、11年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「田原総一朗 日本はこれからどこへ向かうのか」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。