沖縄、山口、広島の3県では米軍基地の周辺地域などに新型コロナウイルスの感染が拡大。原因は在日米軍のずさんな対策ではないかとの見方が広がっている。その根底にあるのが日米地位協定だ。

岸田文雄首相は新型コロナウイルス感染の再拡大にどう臨むか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
岸田文雄首相は新型コロナウイルス感染の再拡大にどう臨むか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 世界各地でオミクロン型の感染が急速に拡大している。日本でも感染者が急増しており、1月8日には約4カ月ぶりに8000人を超えた。

 今、特にコロナが猛威を振るっているのは、沖縄、山口、広島の3県で、1月9日には「まん延防止等重点措置」が適用された。なぜ、東京都や大阪府などの人口密度の高い地域よりも先に、この3県で感染が拡大したのか。3県では米軍基地の周辺地域などに感染が広がっており、感染拡大の原因は在日米軍のずさんな対策ではないかとの見方が広がっている。

 その根底には、日米地位協定があると僕は考えている。

 日米地位協定とは戦後の占領政策の延長であり、日本は日米合同委員会で合意したことに従うしかない。日本政府や地方自治体は、米軍に何も言うことができないから、いくら在日米軍のコロナ対策がずさんであったとしても対処できないのである。

 2004年に沖縄県宜野湾市で米軍ヘリコプターが墜落した事件があったが、日本の警察が入ることはできなかった。これと同じことが、今回の日本の新型コロナウイルスの感染拡大にも起きている。

 1月6日に林芳正外相はブリンケン米国務長官と電話で協議し、米軍関係者の外出制限を含めた感染拡大防止策の強化を要求した。林外相は、米国に対して言うべきことをきちんと言える人物だ。迅速に電話で協議したことは、評価できると思う。

 僕は、林氏の動きに注目している。林氏は対米のみならず、米中対立の問題においてもキーパーソンだからだ。中国の習近平国家主席が最も信頼する日本の政治家は、自民党の二階俊博氏である。少し前、僕は二階氏に「あなたも80歳になったのだから、後継者を選んだらどうか」と話したことがある。そこで出た名前が、林氏だった。

 興味深いのは、岸田文雄首相は林氏が二階氏の後継者だと百も承知で外相に抜てきしたことだ。これは、米中対立戦略を考えた上での人選だと思う。自民党内にはこの人事に賛成しない見方もあったが、日本が米中の潤滑油になるために、林氏が外相として適任だと判断したのだろう。日本側の対策強化の声を受ける形で、日米両政府は1月9日、在日米軍関係者の施設・区域外への外出を制限することを発表した。

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