2020年10月、菅義偉政権は、温室効果ガスの排出が実質ゼロとなる「カーボンニュートラル」を50年までに実現すると宣言。12月末、実現の道筋を示す「グリーン成長戦略」を発表した。乗用車の新車は30年代半ばまでにすべて電動車とし、40年までに原子力発電所45基分の洋上風力発電を導入、再生可能エネルギー比率は50~60%を目安に引き上げる――。14の重点項目を掲げた成長戦略だが、その中身をみると、実現性に疑問符が付くものも多い。各分野の当事者たちからも「目標が壮大すぎる」との声が漏れる。この意欲的な目標は達成できるのか。実現のための条件は何なのか。(写真:PIXTA)
シリーズ
脱炭素、本当にできるのか

6回
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次世代技術「核融合」、欧米と日本でこんなに違う扱い
米グーグルのほか、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが出資するのが、次世代原発の1つの形態である核融合炉開発だ。従来型の原発に比べて安全性は非常に高く、廃棄物も出ないが、日本…
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ESGマネーが企業を動かす、脱炭素なしにカネもなし
投資家は企業に気候変動問題に関わる戦略や目標の開示を求め始めた。脱炭素への取り組みが企業価値に直結する取り組みになりつつある。日本は国内外からマネーを呼び込むことができるのか。
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欧州の温暖化防止対策の裏に「グリーン覇権」野望あり
欧州は温暖化ガス削減で先行し、関連産業の育成を進めてきた。洋上風力発電や電気自動車などの分野で、欧州企業が世界を席巻する可能性がある。国境炭素税が導入されれば、日本企業のダメージも免れない。
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「売れば売るほど赤字」の水素に、それでも夢がある理由
燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生せず、枯渇する心配もない――。そんな「夢のエネルギー源」として、近年再び注目を集める水素だが、商業利用するには、高いハードルがいくつも立ちはだかる。水素社会を「夢」に終わらせないために…
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「4500基の洋上風力」が並ぶ日、再エネの理想と現実
二酸化炭素の排出が全体の4割弱を占め、最も多いのが電力業界。グリーン成長戦略では、2050年に国内の発電電力量の50~60%を再生可能エネルギーで賄う計画で、いわば「主力電源化」を目指す。今後、再エネ拡大のけん引役となる…
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滑り込みの50年炭素中立、必須「ウルトラCの革新」とは
欧州連合(EU)と中国の後を追うかたちで昨年10月、「カーボンニュートラル(炭素中立)」目標を宣言した菅首相。「あと1週間余り遅れて、(米大統領選で炭素中立を公約に掲げていた)バイデン氏勝利後になっていたら、世界の笑いも…
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小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
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徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
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総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
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不屈の路程
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菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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1000年企業の肖像
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10 Questions
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河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
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ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
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大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
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食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
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フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
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ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
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テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
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70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
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