投資家は企業に気候変動問題に関わる戦略や目標の開示を求め始めた。脱炭素への取り組みが企業価値に直結する取り組みになりつつある。日本は国内外からマネーを呼び込むことができるのか。

東京駅から東京都港区の複合施設「ウォーターズ竹芝」まで走行している「JR竹芝水素シャトルバス」(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
東京駅から東京都港区の複合施設「ウォーターズ竹芝」まで走行している「JR竹芝水素シャトルバス」(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 「準備が迅速にできない企業は事業が停滞し、企業価値も低迷する」。8兆6800億ドル(約910兆円)の資産を運用する世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは今年1月、投資先企業にこのような書簡を送った。毎年、企業の株主総会を前にフィンク氏が投資家としてのメッセージを伝える通称「フィンクレター」と呼ばれるものだが、今年は気候変動問題を課題の中心に据える、より強い決意を感じる内容だった。

 ブラックロックは冒頭の言葉とともに、今後はカーボンニュートラルに向けた事業戦略を開示するよう、投資先企業に求めることを発表した。開示が不十分な場合は、株主総会で取締役に反対票を投じられる可能性がある。

 これまでもESG(環境・社会・統治)の文脈で、取り組みを強化する企業に重点的に投資する機関投資家は欧米を中心に存在したが、雰囲気はさらに変わりつつある。「気候変動問題の解決に向けて、資金を投じようと考える動きが加速しており、それが投資家の目をより厳しいものにしている」。長年ESG投資に携わってきたカタリスト投資顧問の小野塚恵美副社長COO(最高執行責任者)は話す。

 その理由は明確だ。各国政府がカーボンニュートラルに向けて走り出したことで、新たなビジネス機会が生まれることがはっきりしてきたからだ。また、炭素税や排出枠取引など、炭素排出に価格を付けるカーボンプライシングの考え方を排出量削減に生かす動きが国際的に強まる中で、取り組みをおろそかにすると企業業績に影響が出かねない。気候変動問題への対応が、企業価値に直結する事案になってきた。

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