二酸化炭素の排出が全体の4割弱を占め、最も多いのが電力業界。グリーン成長戦略では、2050年に国内の発電電力量の50~60%を再生可能エネルギーで賄う計画で、いわば「主力電源化」を目指す。今後、再エネ拡大のけん引役となるのが洋上風力発電だ。北海道や東北、九州の海を中心に4500基の洋上風力が立つ日がやってくる。

2019年に商業運転を始めた国内初の洋上風力発電所。東京電力リニューアブルパワーが千葉県銚子沖で運営している

 「98%」「99%」……。日本海側で雪が降り積もり、寒波が続いた今年1月上旬のことだった。全国の電力会社が電力使用見通しを公表するウェブサイト「でんき予報」では、供給力に対する使用の割合を示す「使用率」欄に、普段ならほとんどみることのない数字が並んでいた。

 安定供給のためには97%以下であることが最低限必要とされる。つまり、今回の事態は使用率が危険域に突入し、余裕がほとんどなくなっていた。供給が需要を満たせなくなれば、2018年秋に北海道で起きたような大規模停電が起きかねない。肝を冷やした電力会社側は水面下で節電要請の呼びかけを求めたが国は応じなかった。エリア単位で電力需給を見る電力各社に対し「エリアを越えて互いに融通し合えば乗り切れる」というのが国の言い分だった。

「もし港が封鎖されていれば……」 薄氷を踏む思いの電力供給

 電力需給逼迫を招いた主な要因の1つが液化天然ガス(LNG)の在庫不足である。国内の発電電力量の4割弱を占めるのがLNG発電だ。だがLNGは気化しやすく長期保存に向かないため保管できるのは14日程度。予想に反した寒波で電力会社は適切なLNGの在庫水準を読み切れなかった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、港湾を封鎖した国もある。「もしコロナ禍によって、(日本やLNG輸出国の)港が封鎖されていたら大変なことになっていた」と池辺和弘・電気事業連合会会長(九州電力社長)は薄氷を踏む思いだった電力供給を振り返る。

 11年の東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、原発の相次ぐ停止の一方で数を増やしてきたのが太陽光発電などの再生可能エネルギーである。とりわけ12年のFIT(固定価格買い取り制度)導入が起爆剤となり、太陽光は5000万キロワット(kW)超と10倍以上に伸長。発電電力量に占める再エネの割合は10年度に9.4%だった。それが19年度には18%となり、50年には50~60%を目指す。

 だが、発電量の変動が大きいという再エネの課題が解決する見通しは立っていない。電気は、発電した瞬間に使う「同時同量」が大原則で、ためることができない。太陽光発電は日照量に左右されるため、夜や曇天の日は発電量が減る。この減少分を主に補完しているのが火力発電だ。

再エネが増えるほど火力発電が必要に

 中でも15分ほどで発電機を起動できるLNG発電は、機動力に優れた便利な存在だ。東電と中部電力の火力発電事業を統合したJERA(ジェラ)はこうした体制を構築することで電力需給のバランスを維持している。

 現在は関東エリアの太陽光発電だけで1000万kWの発電容量がある。「火力発電は1基100万kWほどのため、太陽光発電の変動に合わせて最大10基分の発電容量を柔軟に制御できる仕組みが必要だ」と野平英治・東日本プラント運用センター所長は語る。

 「需要の変動が以前に増して急峻(きゅうしゅん)になっており、止めていたLNG発電所を緊急で立ち上げて電力供給をする場合もある」と野平氏。電気をためる蓄電池の技術開発が進展すれば使いやすさは格段に向上するが、再エネは現状では単独で完結する電源になっていない。

洋上風力世界第3位 日本の目標に感嘆の声

 再エネに課題はあるものの、電力会社は多様な電源を駆使し、その弱点を補う工夫をしてきた。国が50年に向けた大きな目標を掲げた以上、電力会社はその拡大をさらに推進する必要がある。その再エネ拡大をけん引するのが洋上風力発電だ。

 「すばらしい! 日本はついにここまでやると決めたのか」

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