被災地で活発化した5番目の改革は、行政部門の情報管理の効率化・デジタル化だ。役所の情報伝達の不備によって被災後に現地で起きた様々な混乱は記憶に新しい。復興の速度を上げるとも期待された「被災地の自治体IT化」の今を追う。

 もしあの時、町の防災情報システムが万全で、他地域との津波に関する情報共有も十分にできていれば、40人の職員の命を救えたのではないか――。岩手県大槌町の人々はこの10年、何度もそう考えたに違いない。

 2011年3月11日、震災による津波は大槌町にも押し寄せた。とりわけ悲惨だったのは町役場で、庁舎の2階まで海水に飲み込まれ、町長をはじめ40人が命を落とした。

 残念でならないのは、午後2時46分の地震発生から庁舎への津波襲来まで35分の時間があったことだ。役場が被災した際に災害対策本部を置くことになっていた高台にある中央公民館に全員が避難する余裕は十分あった。

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