こうした主張は論理的な飛躍と言えるだろう。「今後空き家が増えるのだから、家賃は暴落する。従って家なんか買う必要がない」といった主張もそうだ。本連載の第3回でも説明したように、筆者の研究では空き家率が家賃や中古マンション価格に与える影響は大きくはないことが示されている。また、いったんインフレが起きれば家賃は確実に上昇に転じる。空き家率そのものも地域差が大きく、住宅の滅失が増えていることからも急激に上昇するとは限らない。

 このように一見、原因と結果の関係に見えても、そこには論理的な飛躍があることも多い点に注意が必要である。

事実を疑う必要性とエコーチェンバー効果の怖さ

 数値が伴うことで事実らしく聞こえて、世の中に常識として広まる言説も多い。これまでの連載で取り上げてきた例でいえば、「空き家数が800万戸と多い」(実際には、大きく下回っている可能性が高い)、「中古住宅流通比率が20%に満たず欧米と比べて極端に低い」(業界団体の推計によれば40%程度)、「日本の住宅寿命は30年程度と短い」(50年以上に長期化しているという研究成果もある)、といったようなことである。

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