本連載の26回目で「高齢者お断り」の賃貸住宅がなくならない大きな理由に、「賃借人が死亡した場合、賃貸借権が相続され厳密にはすべての相続人の同意が得られなければ残置物の撤去すらできない」という借地借家法の問題を指摘した。公営住宅にはそのような問題がなく、高齢者の住まいの受け皿となっている。しかし、住宅総数が増え続ける一方で公営住宅は減少に転じており、老朽化も進んでいるという問題がある。保証人が必要な場合も多く、入居しようと思ってもすぐに入居できるとは限らない。公営住宅は今後どうあるべきだろうか。

総務省の住宅・土地統計調査によると、1958年以降、住宅総数は一貫して増加を続けている。最新の2018年と20年前の1998年を比べると、居住あり住宅数は4615万戸から5800万戸に1185万戸も増加。これに伴い、民営借家は1557万戸から1962万戸に、持ち家は2647万戸から3280万戸に大幅に増加している。
一方で、減少しているのが公的住宅だ。公的住宅は、独立行政法人都市再生機構(UR)や自治体の住宅供給公社が運営するものと、都道府県や市区町村が運営する公営住宅に分かれ、UR・公社物件は1998年の86万戸が2018年には75万戸に、公営住宅は209万戸が192万戸に減少している。
そして公的住宅は減少しているだけでなく、建て替えも進んでいない。
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