毎年注目を集めている「都道府県魅力度ランキング2022」がブランド総合研究所(東京・港)から10月8日に発表された。その3日前の10月5日に、筆者が企画・設計・分析した今回が初めてとなる「いい部屋ネット 街の住みここちランキング特別集計 街の魅力度ランキング2022<都道府県版>」も発表されている。一方、「都道府県魅力度ランキング」の2021年版で44位となった群馬県が9月30日に検証報告書を発表するなど、反発も起きている。こうした都道府県ランキングは複数あり、結果はバラバラだ。今回は、都道府県の魅力を測定することの難しさについて考えてみたい。

まず、各社のランキング結果を見てみよう。ブランド総研(回答者数:3万4768人)では、1位:北海道、2位:京都府、3位:沖縄県だが、じゃらんリサーチセンターの「じゃらん宿泊旅行調査 2022」(回答者数:1万4123人)では、1位:和歌山県、2位:沖縄県、3位:三重県となっており、大東建託のいい部屋ネット(回答者数:18万6683人)では、1位:福岡県、2位:兵庫県、3位:神奈川県だった。

なぜ、同じ都道府県の魅力度を測定しているはずなのに、結果が異なるのだろうか。それは、調査方法が異なり、測定している「魅力」がそれぞれ異なるからだ。
ブランド総研では3万4768人の回答者が、1人あたり15または16の都道府県について、「魅力的に感じますか?」という1つの設問に対して回答した結果を集計してランキングを作成している。
じゃらんリサーチセンターは、2021年4月から22年3月の1年間に、出張・帰省・修学旅行などを除く国内宿泊旅行をした1万4123人を対象として調査しており、実際の旅行先について最大3カ所まで、総合満足度という1つの回答を集計してランキングを作成している。
いい部屋ネットの調査は全国18万6683人による、居住地に対する12項目、非居住地に対する18項目の評価についての順位の平均でランキングしており、単一の設問で構成されているわけではない。
つまり、ブランド総研は項目を明示せずに「魅力的ですか」という単一の質問だけでランキングを作成し、じゃらんは旅行した経験に対する総合満足度でランキングを作成し、いい部屋ネットは複数項目を組み合わせた指標でランキングを作成している、という違いがある。
調査方法が異なれば結果が異なるのは当たり前だ。また回答者数が多いか少ないかで統計的な精度も異なり、当然、回答者数が多ければ多いほど誤差も小さくなり、精度は高まる。
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