東京一極集中とよく言われるが、地方の人々は本当に東京に住みたいと思っているのだろうか。筆者が企画・設計・分析している大東建託賃貸未来研究所の「いい部屋ネット街の住みここちランキング」は、いろいろある住みたい街ランキングの中で唯一、47都道府県全てを対象に調査を行っている。今回はその結果を基に、居住地によって意外に異なる“住みたい街”と、それが人口に与える影響について考察したい。

住みたい街ランキングでは、福岡市など地方中核都市の人気の高さが際立つ(写真:PIXTA)
住みたい街ランキングでは、福岡市など地方中核都市の人気の高さが際立つ(写真:PIXTA)

 「いい部屋ネット街の住みここちランキング」で最新の2022年版データを基に、47都道府県のそれぞれの居住者が投票した住みたい街の1~5位を一覧にしてみた。

 その結果、意外なことに兵庫県だけが1~5位までに東京23区がランクインせず、全て兵庫県内だった。兵庫県居住者の住みたい街の投票先のうち兵庫県内の街の得票率は全体の14.1%で、これは北海道の16.3%に次ぐ2位となっている。

 また、兵庫県外の都市の得票率も6.4%と北海道(5.2%)、福岡県(5.9%)、沖縄県(6.1%)に次ぎ4番目に低い。

 逆に、お隣の大阪府では、住みたい街の1位は兵庫県西宮市。2位は梅田のある大阪市北区だが、3位には東京23区がランクインしている。大阪をはじめとする関西地方では地元愛が強いイメージがあるが、必ずしもそうではないようだ。

●都道府県別住みたい街1-5位と人口増減率
●都道府県別住みたい街1-5位と人口増減率
同一都道府県内の政令市・特別区への投票および首都圏の東京23区への投票以外は政令市・特別区を集約して集計。各都道府県の1-5位のうち東京23区は背景黒白太字、東京23区以外の都道府県外都市は背景グレー太字。都道府県内得票率・都道府県外得票率は、それぞれ偏差値60以上を背景グレー太字、偏差値40未満を背景黒白太字。地元型は都道府県内得票率の偏差値60以上、県外型は都道府県外得票率の偏差値60以上
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 もっともこの調査の回答者は今現在大阪に住んでいる人であって、必ずしも大阪で生まれ育った人というわけではない。進学・就職や転勤などで大阪にやってきた人が、大阪以外に住みたいと考えているのかもしれない。しかし、滋賀県・京都府・奈良県・和歌山県でも、地元志向は強いとはいえない。地元志向の強さは兵庫県が突出している。

 兵庫県以外で地元志向が強いのは、北海道、宮城県、東京都、神奈川県、石川県、福岡県、沖縄県の7都道県。このうち北海道、宮城県、福岡県の特徴については後述するが、首都圏でも埼玉県・千葉県では県外の街に住みたいと考えている人が多いことは興味深い。

 最近では、首都圏の住みたい街ランキングで埼玉の街の躍進が報道されることもあるようだが、それは一部の街に限られていることを示唆している。

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