6月25日に令和2年(2020年)国勢調査の人口速報集計が発表された。2020年10月1日時点の日本の人口は1億2622万7000人で、2015年に比べて86万8000人減少した。一方、同じ期間に住宅は約460万戸が着工されている。しかし統計上、空き家の数は30万戸も増えていない。なぜ、人口減でも住宅の増加が続いているのだろうか。

(写真:PIXTA)
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 国勢調査は5年ごとに行われており、最新の令和2年(2020年)国勢調査の人口速報集計が、6月25日に発表された。国勢調査は、住宅・土地統計調査のような調査地域を抽出した標本調査と違い、日本に居住している全員を対象とした悉皆(しっかい)調査となっている。

 なかには「国勢調査には答えていない」という読者もいると思うが、そうした場合でも、全国で約70万人が任命される国勢調査員が、マンションの管理人や近隣住民などに調査対象世帯の氏名や世帯構成などを聞き取って、可能な範囲で調査票を埋めることになっている。そのため国勢調査員には、町内会や自治会から推薦された人や、前回調査の経験者など地域の実情に詳しい人が選任されており、国勢調査の精度は、かなり高いと考えられる。

 人口速報集計の結果をみると、2020年の人口は1億2622万7000人で、2015年より86万8000人減少している。2015年時点の人口も2010年より96万3000人減少している。2011・2012年ごろが日本の人口のピークだったようだ。

 日本が人口減少時代に突入した、という報道も多数ある中、不動産に目を向けるとまた違った風景が見えてくる。2016年から2020年の間に住宅は460万戸が着工されているのだ。この数字をみれば、「ほら、過剰供給ではないか」「だから空き家が増えるのだ」という指摘もあるだろう。しかし国勢調査とは2年ずれるが、2018年の住宅・土地統計調査の空き家数は848万9000戸で、2013年から29万3000戸しか増えていない。

 空き家が増えていない理由は大きく分けて2つある。

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