不動産の“駅近物件”が人気なのは限られた大都市部にすぎず、地方では駐車場の有無のほうが重要なファクターであることを本連載の第21回目で紹介した。郊外や地方では暮らしに占めるクルマの存在感が大きいからだ。そうした地域の生活利便性を高めているのが、イオンに代表される大型ショッピングセンター。その有無は、明らかに居住満足度に影響を及ぼしている。一方で、都市中心部の利便性は公共交通網の発達で向上し続けてきた。今回は、約30年間で定着した地方と都市部の生活様式の二極化について考察したい。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

 地方や郊外では、日常の交通手段はクルマで、休日には郊外のショッピングセンターに行く、という生活様式が定着している。筆者が企画・設計・分析を行った「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」の個票データを使って、大型ショッピングセンターのある街とない街の違いを分析した散布図が下図である。

 この散布図の横軸は居住満足度で、縦軸は生活利便性因子の得点になっている。ここでは全国のすべてのイオンモールが含まれる延べ床面積2万4000平方メートル以上の大型ショッピングセンターを対象とし、対象となる自治体は回答者が50人以上で、首都圏・関西圏・名古屋都市圏と札幌・仙台・広島・福岡の各都市圏および県庁所在地を除いた地方の自治体となっている。

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 散布図を見れば、大型ショッピングセンターがある街のほうが、ない街よりも明らかに生活利便性の因子得点が高くなっている。大型ショッピングセンターには、全国に展開しているイオンモールのほかにも、中・四国、九州のゆめタウン、中・四国のフジグラン、関東のアリオ、東海のアピタのほか、三井アウトレットパーク、ららぽーとなど様々なものがあり、地域の生活利便性を向上させ、住んでいる人達から支持されているということになる。

 にもかかわらず、イオンモールのような大型ショッピングセンターの評判は、一部の街づくり「専門家」には良くないようだ。そうした批判は一部の専門家だけではなく一般人の間にも根強いようで、例えばTwitterで「イオン 商店街 衰退」と検索してみると「イオンはけしからん」という趣旨の書き込みが容易に見つかる。

 この意識のギャップはどこからきているのだろうか。