新型コロナウイルス禍となった2020年以降、人口の転出超過に注目が集まる東京都。しかし3~4月は依然として圧倒的な転入超過が続いている。進学や就職などで上京する人が多いからだ。しかし彼らの多くは「東京は住みにくい場所だ」という不安を抱きながら東京へとやってくる。筆者が企画・設計・分析を行っている「いい部屋ネット 住みここちランキング」の最新データでは、東京都は「住みやすい」評価でなんと全国で最下位だった。一方で、東京都が都民を対象に行ったアンケート結果では「今後も東京に住み続けたい」という回答が9割を超える。果たしてどちらが東京の本当の姿なのだろうか。

 「人が多くてゴミゴミしている」「物価が高くて治安も良くない」「自然もない殺風景な場所だ」――。地方に住む人たちに、東京についての印象を聞くと、そんな答えが返ってくることが少なくない。

 筆者が企画・設計・分析を行っている「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」では、最新の2022年調査で新たに都道府県に対する評価を追加した。その中の「住みやすそう」という項目で、東京都は47都道府県中で最下位となっている。

 この調査では、回答者が現在住んでいない都道府県をランダムに表示し、その都道府県について「住んでみたい」「住みやすそう」「よく知っている」といった項目を回答してもらった。回答者数は約18万6000人、1都道府県あたりの評価回答者は4000人程度とかなりのサンプルサイズを確保している。

 この調査の最新データを首都圏の1都3県について集計したものが以下の表である。

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 1都3県の結果を見ると、いずれも比較的良い評価を得ていることが分かる。特に神奈川県は、「住んでみたいと思う」1位、「住みやすそう」3位、「よく知っている」6位など、高い評価を得ている。東京都も、「よく知っている」2位、「ビジネスが盛ん」1位と非常に高い評価となっている。ところが、「住んでみたいと思う」は14位と下がり、「住みやすそう」という項目に至っては、なんと47都道府県の最下位になってしまったのだ。

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