2019年から2022年までの累計回答者数が全国で60万人を超える大規模調査「いい部屋ネット街の住みここちランキング」。実際に住んでいる人からの機能的評価である「街の住みここちランキング」、愛着などの感情的評価も反映される「住み続けたい街ランキング」、主観的幸福度に関する「街の幸福度ランキング」の3つを基に、住みここちのよい街の条件を各地方別に解説していく。4回目は首都圏を取り上げる。

東京都では、都心部の住みここち評価が高い(写真: まちゃー/PIXTA)
東京都では、都心部の住みここち評価が高い(写真: まちゃー/PIXTA)

 4月の進学・就職シーズンを前に上京する人が多い3月。新型コロナウイルス禍以前は、首都圏人口の流入超過の5割弱は3月。4月と合わせると7割弱に上っていたほどだ。

 それに合わせて、2~3月に複数の「住みたい街ランキング」が発表されている。最近では埼玉方面の人気が高まっているという解説もあるようだが、筆者が企画・設計・分析を行っている「いい部屋ネット街の住みここち&住みたい街ランキング」では、そのような傾向は特に見られない。その理由については後ほど触れるとして、まずはランキングを見ていこう。

住みここちが良いのは、都心と郊外ニュータウン

 市区町村別の住みここちの偏差値をマップにしてみると、東京都の都心部で評価が高いことが分かるが、同時に郊外にも評価の高い場所があることが分かる。

偏差値70以上が黒、65以上70未満が濃いグレー、60以上65未満がグレー
偏差値70以上が黒、65以上70未満が濃いグレー、60以上65未満がグレー

 この傾向は、前回解説した関西のドーナツ構造と同じような傾向に見えるが、その広域性が違う。関西では、神戸市の中心地である三宮は大阪市中心部から西に30キロメートル程度の距離にあるが、阪神間は北から山が迫り、南には海があるため、評価の高い市街地は比較的狭い。一方、首都圏では、東京都の中心部から、西南方向の30キロメートル圏で、広い範囲で評価の高い地域が連続している。

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