さまざまなメディアで東京都の人口が減少していることが報じられ、テレワークによる郊外移住がその原因として取り上げられることも多い。また、地方創生の文脈でも東京一極集中が解消される契機になることを期待する向きが多いようだ。確かにテレワークによる移動も多少はあっただろうが、人口の増減は国内の移動数だけで決まるものではない。死亡数が出生数を上回る自然減や、外国人出入国による社会増減の影響も大きい。今回はそうした人口動態に着目して、新型コロナウイルス収束後に再び東京へ人口が集中する可能性を検討してみたい。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 1月末、東京都や東京23区の人口が減少に転じたという統計が公表された。コロナ禍でテレワークが進展したことによる郊外移住と結びつけて報じられたケースも少なくない。ところが、人口が減少すれば不動産の価格は下がりそうなものだが、首都圏の新築マンションの価格は過去最高を更新している。これをどう解釈すればいいのだろうか。

 人口に関する統計には、直近では2020年に行われた「国勢調査」、各自治体が発表する国勢調査人口に毎年の住民票移動数を反映した「推計人口」、総務省が発表している「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」「住民基本台帳人口移動報告」、法務省出入国在留管理庁が発表している「出入国管理統計」「在留外国人統計」といったさまざまなものがある。どれも人口に関する統計ではあるが、それぞれで集計方法は異なる。統計を表面的に見るだけでは実態は分からないのだ。

 それらの中で、東京の人口が減少に転じたという文脈で取り上げられる統計は2つある。

 1つ目は、東京都が1月31日に発表した「『東京都の人口(推計)』の概要(令和4年1月1日現在)」である。2022年1月1日時点の東京都の推計人口は、1398万8129人と前年同月比4万8592人、率にして0.35%減少し、東京23区についても967万1141人と前年同月比4万9891人、率にして0.51%減少したとされている。東京都の人口が通年で減少したのは1996年以来、26年ぶりということで話題になった。

東京23区の人口減少は外国人の減少が主な要因

 特定地域の人口増減の要因は、出生数と死亡数の差である自然増減と、流入数と流出数の差である社会増減の2つに分かれる。そして社会増減はさらに、国内の地域間移動による増減と、外国への出国と入国・帰国による増減に分かれる。

 このとき注意が必要なのは、国内の地域間移動には外国人の移動も含まれ、出国・入国には日本人も含まれるということである。

 こうした人口変動の内訳は総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」に記載されている。2021年の情報はまだ発表されていないため、2019年と2020年の東京23区の数値を集計してみると以下のようになる。

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