前回の記事では、報道などで取り上げられている「全国の空き家数849万戸、空き家率は13.6%」という統計データが過大ではないかと指摘した。では空き家の実態はどうなっているのだろうか。空き家の増加が不動産市場に与える影響など、空き家問題に対する“誤解”は数多い。

前回の記事では、総務省統計局が5年ごとに発表している「住宅・土地統計調査(以下、住調)」の空き家率が、必ずしも実態を示しているものではないということを、国土交通省や自治体の類似調査との比較で指摘した。住調では空き家の判断を外観で行っているため、オートロックマンションの増加や調査未回答者の増加などによって、誤差が無視できないほど拡大している可能性がある。2018年の住調で全国の空き家は約849万戸、空き家率は13.6%とされているが、これは過大だと筆者は考える。
08年ごろから日本の総人口が減少していることと空き家の増加を結びつける論調も多いが、統計データからそれを読み解くことは実は難しい。13年と18年の住調を比較してみると、空き家率はわずか0.08%上昇しているだけで、ほぼ横ばい。逆に賃貸住宅の空き家率は5年間で0.32%低下している。この点も、住調の信頼性に問題があることを示唆しているといえるだろう。
では実際の空き家はどの程度なのか。まず参考になりそうなものとして、国勢調査の世帯数がある。「世帯数=住調の居住あり住宅数」と考えると、差異は以下の通りとなる。
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